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2010年度 「鉄道による低炭素社会の実現に向けた研究推進」報告書
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事業成果物概要 |
1.業務の目的
近年、地球環境問題への対応という点から、鉄道はCO2排出量の少ない輸送機関として世界的な注目を集めている。このような背景から、米国を始めとして、世界各地で鉄道網の整備が国家規模のプロジェクトになっている。そのような状況下で、我が国の鉄道システムへの理解を深め、普及を進めていくことを目的として、米国やインドにおける交通体系の現状や課題、日本及び欧州における高速鉄道の特徴に関する調査や分析を行い、これらの成果を踏まえて、米国を中心として我が国の鉄道システムに関する啓蒙活動を関係者と共同で実施する。 2.業務活動の項目 高速鉄道の整備が比較的進んでいる日本、欧州(フランス、ドイツ)における高速鉄道の整備の経緯や特徴については、運輸政策研究機構が単独で調査や分析を行った。また、米国やインドにおける交通体系の現状分析や高速鉄道整備における課題等の調査及び分析については、海外の研究機関と共同で実施した。 我が国の鉄道システムに関する啓蒙活動については、国土交通省、外務省、経済産業省、海外鉄道推進協議会、日本貿易振興機構(JETRO)との共催で、米国内の2か所(シカゴ、ロサンゼルス)において官民合同の高速鉄道セミナーを開催した。セミナーには米国要人からの講演、官民の日本関係者からの講演及びプレゼンテーションを盛り込むとともに、日本関係者からのパネル展示も行われた。 本年度の業務項目は以下の通りである。 ①日本、欧州(フランス、ドイツ)の高速鉄道に関する調査、分析 ②米国での高速鉄道整備における課題等の調査・分析 ③インドにおける交通体系の現状等の調査・分析 ④米国における高速鉄道セミナーの開催 ⑤海外要人対応を通じた高速鉄道の啓蒙活動 3.業務の内容 ここでは、報告書にまとめた各業務の内容、及び、高速鉄道セミナー、米国要人対応について要約して紹介する。 (1)日欧の高速鉄道に関する調査・分析 日本の高速鉄道システムを諸外国に普及させるためには、比較優位性を様々な側面から明確に整理することが不可欠である。この観点から、日本に加えて、高速鉄道の整備が進んでいる欧州(フランス、ドイツ)について、高速鉄道の整備の経緯や特徴を調査し、これを踏まえて、日欧の高速鉄道システムの相違点をまとめた。 また、日本における高速鉄道の整備効果や技術的な課題の解決方法については、国際会議や米国での高速鉄道セミナーにおいてプレゼンテーションを行った。 (2)米国での高速鉄道整備に関する調査・分析 ①高速鉄道整備における資金スキーム アジアや欧州における高速鉄道の建設、運営に関する資金スキームを比較調査し、これを踏まえて、米国で高速鉄道を整備する際の資金面での課題について分析を行った。 これらの調査・分析内容については、米国での高速鉄道セミナーにおいてプレゼンテーションを行った。 ②需要予測、土地利用 米国で計画されている高速鉄道回廊の中から抜粋したものについて、既存の旅客需要予測手法に関する比較を行うとともに、高速鉄道整備を前提とした地域開発、土地利用に関する分析を行った。 これらの調査・分析内容については、米国での高速鉄道セミナーにおいてプレゼンテーションを行った。 (3)インドでの交通体系等に関する調査・分析 インドにおける鉄道やその政策の現状や課題について調査を行った。この結果を踏まえて、鉄道のシェアを高めるという観点から、インドにおける鉄道政策の現状と課題について整理を行った。また、政策の1つとして検討されている高速鉄道構想について紹介するとともに、その導入可能性についての分析を行った。この内容については、インド国務大臣が議長を務めるインド国交通開発委員会(the National Transport Development PolicyCommittee: NTDPC)においてプレゼンテーションを行った。 (4)米国における高速鉄道セミナーの開催 米国で開催した高速鉄道セミナーについて、概要を以下に記載する。 ①シカゴ高速鉄道セミナー(平成22年6月) 2010年1月にワシントンDCで開催された官民合同の高速鉄道セミナーに続いて、2回目の開催となった。日本側から国交大臣を始めとした官民の運輸関係者、米国側からイリノイ州選出の連邦下院議員、州下院議員等が出席した他、日米からの多数の参加者で立見が出る程の盛況ぶりであった。 ②カリフォルニア高速鉄道セミナー(平成23年1月) 米国で開催される官民合同の高速鉄道セミナーとしては3回目の開催となった。日本側から官民の運輸関係者、米国側からミネタ元連邦運輸長官、ロサンゼルス市長、カリフォルニア州選出の連邦下院議員等が出席した他、日米から多数の関係者が出席した。 (5)米国要人対応を通じた高速鉄道の啓蒙活動 ①連邦運輸長官訪日レセプション(平成22年5月) 日本の高速鉄道である新幹線及びリニアに試乗して頂いた後、海外鉄道推進協議会との共催でレセプションを開催し、長官を招待して挨拶を頂いた。日本側からは国土交通大臣から挨拶を頂くとともに、多数の関係者が出席した。 ②カリフォルニア州知事高速鉄道視察(平成22年9月) カリフォルニア州高速鉄道局(CHSRA)関係者とともに訪日し、JR東日本の新型新幹線に試乗して頂いた際に、日本の新幹線に対する理解を深めて頂いた。 4.事業の成果、達成状況 インドでの交通体系に関する調査・分析の成果をNTDPCで発表する時期の関係から、1ヶ月間の延長を行ったものの、最終的には年度当初に掲げた目標を達成することができた。具体的成果は以下の通りである。 ①米国高速鉄道計画における日本の高速鉄道システムの啓蒙活動 米国で高速鉄道整備の機運が高まる中で、日本の高速鉄道システムへの理解を深めて頂くため、米国内での2回の高速鉄道セミナー開催や、米国要人訪日時の対応を行ってきた。 また、日本の高速鉄道の現状や整備の経緯、及び、米国で高速鉄道を整備する際の課題の分析を行い、その成果を高速鉄道セミナーや国際会議の場で発表した。 ②インドでの交通体系整備に向けた啓蒙活動 インドにおける交通体系の現状分析を行い、その成果をインドの運輸関係者が出席するNTDPCで発表することを通じて、鉄道整備のメリットや日本の鉄道システムに関する啓蒙活動を行った。 報告書名:鉄道による低炭素社会の実現に向けた研究推進 報告書 本文:A4版 231頁 |
助成機関 |
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事業成果物種類 |
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事業成果物 |