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2010年度 海上保安に関する日米協調等の構築に関する調査
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事業成果物概要 |
1.調査の背景及び目的
(1)調査の背景 2001年9月11日の同時多発テロを契機にアメリカでは海事セキュリティに関する重要性が語られ、この分野で先進的な取り組みがなされている。これは、世界に広がる海洋がアメリカの安全保障、経済、環境等に大きく影響を与えることがテロを契機に大いに意識され、結果として海事セキュリティが国策として推進されたことによるものである。 このような中、本報告書では、海洋における安全・安心を視野においた海上保安に関する米国沿岸警備隊(以下「USCG」という。)の国際協力の歴史を中心に、近年のUSCGによる顕著な国際協力の事例と体系を紹介することとした。 (2)調査の目的 本事業は、米国の海事セキュリティ政策、特に海上保安分野の国際協力・連携における政策の動向について調査・研究、情報収集・発信等を行い、同分野における日米の海上保安当局間の協調をより一層推進することにより、北太平洋及びアジア地域はもとよりグローバルな視点での海上保安に関する国際協力・連携政策の効果的な推進を図り、もって海事セキュリティの向上に資することを目的としている。 3.調査研究の内容 ここでは、報告書にまとめた調査研究内容を要約して紹介する。 1)USCGにおける国際協力 ①USCGの国際協力の歴史 ②最近のUSCGにおける国際協調 ③USCGにおける国際人道援助 ④USCGによる対外有償軍事援助 ⑤USCG国際協力に携わる個別部隊と予備役の歴史 2)近年のセキュリティ対策(MDA中心) ①アメリカにおけるMDA戦略 ②アメリカ国内での具体的MDAの取組み 3)USCG機構改革その他の取組み ①USCG組織、保有勢力再編への取組み ②USCG予算削減への取組みと議会の反応 ③USCG導入予定の最新の装備 4)新長官就任にあたっての指導原則 5)日米協調について USCGの国際協力業務に関する歴史と現状を踏まえ、日米協調を思考した。 1.直接的な協力 USCGの国際業務の歴史を見れば日米の相違点は明白である。アメリカにおいて行われている軍事活動を伴った活動を日本は行っておらず、また、日本の海上保安庁の非軍事性も法律によって担保されており、今後もアメリカが直接的な紛争に関わった際、海上保安庁が直接的な連携を図っていくことは難しい。また、海上保安庁がUSCGによる教育・訓練の支援を受けるという必要性も現在に至っては、ほぼ必要ないと言って良い。 2.日本の国際協力 現在、海上保安庁が行っている国際協力業務の中には北太平洋海上フォーラムへの参画の他、フィリピン、インドネシア、マレーシア等の東南アジア諸国への海上保安組織設立支援がある。これは、東南アジア周辺海域が日本の生命線とも言える海上交通路となっており、この地域の安定が海上貿易の安全、日本経済の安定に繋がり、かつ、密輸事案等の犯罪撲滅に繋がるという考え方から実施されているものである。 このような貢献によって得られた地域の安定は、日米のみならず世界各国の共通の利益になるものである。 国際協力活動においては、日米の海上保安機関の国際貢献は近似のものであり、どのように協調していくことが双方の利益に繋がっていくのか、今後、両者の更なる検討と協力が必要であり、本調査研究において更に深めていきたい。 4.事業の成果、達成状況 本調査に当たっては文献等の他、USCG諸施設を訪問するともに関係職員等からの情報収集も行った。更に北太平洋海上保安フォーラム等に参加することにより、アメリカを始め、太平洋諸国の海上保安機関における国際活動の一端にも触れることができた。これらを通じて情報収集のほか情報発信、人的交流を深めることが出来た。 これらの活動を通じた今年度の事業結果は、今後の海上保安に関する国際協力に関するわが国の役割を見定めていく上で非常に有用であると共に、今後の調査における基礎をなすものであり、年度当初の目標を十分達成した内容であるものと確信する。 報告書名:「世界をつなぐ安全・安心な海へ」―海上保安に関する日米協調等の構築に関する調査―」(資料番号220099) 本文:A4版 159頁 |
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