事業成果物名 |
2024年度対話型がんウィット(ランタン)Version 0.3
|
||||
団体名 |
|||||
事業成果物概要 |
困ったときの「がん専門AIアドバイザー『ランタン version 0.3』」
暗闇を照らす灯(あかり)のように、がんに関する最新の正しい情報をがん患者・ご家族、それを支援する方々、医療関係者に届けます。 ◆『ランタン』とは、いつでもどこでも気楽に、スマホで、PCで、がんに関する最新の知見や治療法、からだのケア、在宅療養でのリスクマネジメント、最寄りのがん治療施設、ホスピス情報、最期の看取りまで、何でも相談できる、対話型AI搭載相談サービスです。 <対話型がんウィット(ランタン)version 0.3) ◆この原稿を書いている私は、ステージ4の大腸がんです。がんになって3年が経ちました。大腸カメラで検査した当日にがんと告げられ、その10日後には手術、1月後には放射線治療と化学療法が始まり、3カ月後には肺転移のため手術、6カ月後には肝臓転移のための手術と過酷な日々を送ってきました。 がん発覚から1年半後、新たな転移が見つかり、医師からは余命宣告を受け、現在は延命のための化学療法を続けています。 ◆がんになって感じたことは、がん治療は情報戦だということです。 「手術をするのか」「抗がん剤をするのか」「放射線をするのか」「何もしないのか」、それを決めるのは、医師ではなく自分です。抗がん剤の副作用や体調不良に対応するのも自分です(もちろん、医師からも様々なアドバイスはありますが)。 あれよあれよという間に、病状は進み、自分が受けている治療法は果たして正解なのか、この病院でいいのか、なぜこの検査を受けるのか、身体の不調にどう対処したらいいのか、最期はどうなるのか、日々、様々な疑問が沸き起こってきます。 情報(=知識)は力です。そして希望です。希望があれば前向きに治療に向き合えます。 ◆かつてがんは入院する病気でした。しかし、現在、がんの療養は入院から通院へと大きく変わりました。 また、がんと診断されたことを理由に仕事をやめる患者さんの割合は年々減少し、家での療養が中心になっています。かく言う私も、月に1~2回抗がん剤のために病院に通うだけで、普通に仕事を続けています。 ◆家で療養していると、体調不良が起きたときなど、すぐに答えが欲しいものです。 病院で医師と話せる時間はわずかです。何か身体に異変が生じたとき、その場で相談したくても、次回の外来診断まで待つしかなく、その場で悩みを解決する環境はありません。 私の場合も、手術、転移、抗がん剤治療と次々と担当医が変わり、6人の先生と関わってきました。そのため、何か身体に異変が起きたときに、どの先生に相談したらいいのか迷うときもあります。 また、変な質問をしたら、医者の機嫌を損ねるのではないか、そんな思いも出てきます。 そのためおのずとインターネットで検索をするのですが、情報は玉石混交で、調べれば調べるほど「何が本当なのか」不安にかられることがあります。 だからこそ、我々が開発する『ランタン』のような、信頼できる正しい情報原の存在が必要なのです。 (文:田村 美奈) ◆在宅がん療養財団では、がんに関する最新の正しい情報を提供するために、医療やケアの専門家と当事者が集まり、家でのがんの治療とケアの疑問に答え、正しい情報を提供する、対話型生成AI版の「対話型AI搭載相談サービス『ランタン』の開発を進めてきました。Version 0.3が完成し、ここに掲載しています。 ◆がんを患う方には3つの大きな正念場があります。1)最初にがんと言われた時、2)再発や転移を伴う進行がんと言われた時、3)打つ手がないと言われ最期の時を迎える時。 私たち、在宅がん療養財団は、3つの正念場に直面している本人、そしてその周りの家族、友人、医療に関わるすべての方に、『ランタン』を通じて、信頼できる最新の正しい情報と寄り添うケアの情報を届けることを目指しています。 ◆ランタンは近年技術が飛躍的に進歩している生成AIを活用することで、がんに関する様々な疑問を解決するより便利なサービスを目指しています。 ◆具体的には、当財団のメンバーである、がんの創薬研究者である東京大学先端科学技術センターの児玉龍彦名誉教授、国立がん研究センターのサイト「がん情報サービス」の編集に携わった帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科の渡邊清高教授、山梨県で先進的な介護施設を運営する「だんだん会」の宮崎和加子理事長(看護師)を始めとした数々のがん治療とケアのエキスパートが中心となり、がん当事者の意見も取り入れながら、世界の最先端の知見と正しい情報を日々、AIに学習させています。 ◆我々が目指すのは以下の2つです。 1)世界で最新の医学的に検証されている診断と治療の方法を提供する。 2)当事者に寄り添ったケア情報を提供する。 ◆現在は、主要ながんの情報を学習させていますが、将来的には30種を超えるがんの治療・診断・治療に関するコンテンツ、がん治療施設に関する地域情報、がん患者さんの在宅でのケアとリスクマネジメント、ホスピス情報などをAIに学習させます。これにより、一人一人に寄り添うサービスの開発を進め、がん患者さん、ご家族、それを支援する医療従事者が信頼性の高い情報へ素早くアクセスできるようにします。 「ランタン」の立ち上げの背景 ◆当財団では、2020年の立ち上げ以来、がん療養に関する様々な情報提供をしてきました。具体的には、「在宅療養」「最新の医療」「生活ケア」「訪問介護」「看取り」に関するよくある疑問と答えを、専門家監修の下「がんウィット」というWEBサイトで公開してきました。 (在宅がんウィット https://ganwit.jhocc.jp/) また、Amazonで電子書籍とペーパーバック「家庭でのがん療養:看護・介護・治療で困ったときのQ&A295」も作成しました。 (『家庭でのがん療養:看護・介護・治療で困ったときのQ&A』 編著:一般財団法人 在宅がん療養財団, 渡邊 清高, 宮崎 和加子, 児玉 龍彦) ◆次なる目標として打ち立てたのは「AI搭載対話型がん相談サービス『ランタン』」の開発。これまでに、日本財団を始めとする、様々な企業の援助を頂戴し、今回お届けする対話型がんウィット「ランタン」version 0.3が完成しました。 ◆がんは他人事ではありません。日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性62.1%、女性48.9%(2020年データ)。今やがんは2人に1人はかかる病気になっています。一人でも多くのがん患者さんが、よりよい情報を得、希望を見出し、生活の質を上げるためにも、がんという情報戦の武器となる「ランタン」を活用頂きたいと願っております。 |
||||
助成機関 |
|||||
事業成果物種類 |
ウェブサイト
|
||||
事業成果物 |
|