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小さな地域を守る意義

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事業成果物概要

小さな地域を守る

日本は狭いながらも複雑な地形をしています。また気候も変化に富み山を挟んでわずか200キロ程度の距離でもこれが同じ国なのかと思える程様変わりします。
東西南北に色々な顔を持つ日本列島は沢筋が違えば植える米の種類さえ違ったというほど多様性に富んでいたのです。
     
以前新潟の或る山村でこういわれた事があります。
「都会の人達はここに来ると、ここの風景を“自然だ、自然だ”というけど、とんでもない。これは先祖代々苦労して築き上げてきたもんだ。自然の姿なんかじゃねえ」

その方が言う通りです。しかしその村の風景が完全に人工的なものとも言えません。その地に暮らす人達が長い年月をかけて自然と折り合いを付けながら作り上げて来た姿ではないでしょうか。
     

 日本には手つかずの完全無垢な自然は殆どありません。必ず何らかの形で人が入り込み生活の場としてきたのです。
 その地の自然に人が生活スタイルを合わせることで生き抜く事が可能になります。それが地域のやり方であり、個性となりました。
 このように小さな地域はその地の自然を守ることで自分達も守られたのです。しかし社会の変化は小さな地域にも及びそこで暮らさなくとも経済の流れに乗ることが可能になりました。それにより本来自分達を守ってくれた自然環境はただの不便な場所と感じられるようになりました。そしてより多くの経済の流れを求めて都市部へと人が去り始めたのです。
 こうして小さな地域は過疎化高齢化が進み集落を維持することさえ困難な状況になりつつあります。
     

 都市部の住民は山奥の小さな集落が廃村になろうと自分達には何の関係もないと考えがちです。しかし前述したように日本の自然は無垢ではなく、何らかの形で人の手が加わっています。
 人がその地で何代にも渡って暮らすためには継続可能、持続可能、再生可能な生活スタイルが必要であり地域の人々はそれを守り暮らしてきたのです。これは手を加え続けることでこそ維持可能なシステムと言えます。この循環が断ち切られればたちまち地域の自然は大きな影響を受けるのです。
 山は荒れ、沢が荒れ、沢が荒れれば本流が荒れ、それは中流域、下流域にも悪影響を及ぼすのです。
     
 つまり行ったこと無い山奥の集落と下流域の都市部は間違いなく自然の循環を通じて繋がっているのです。決して都市にとって山間の過疎地が無縁な存在ではないのです。
 このように日本中に無数にある小さな地域が消えて無くなることは日本という体の一部細胞が死滅している事に他なりません。
 体の一部が壊死すれば心臓や脳もただでは済まないのです。都市部という心臓が小さな地域の壊死に無関心であればいずれは自分達も大変なことになるでしょう。

 小さな地域を守ることは日本という国全体を守る事に繋がるのです。

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