’03年春から介護サービス事業所（もやいケアサービス）を設立し、訪問介護を始めてきました。また、13年１１月からは地域集会所を改装して通所介護を実施しています。'17年度介護事業経常収益は約2172万円。地域内の大里東児童館との連携による子育成活動、青年や高校生の居場所づくり活動、人権啓発事業を実施してきました。

従来は同和問題解決に向け、地域の同和団体と行政との協働により、同和対策事業法を活用しての各種事業が行われてきました。しかしバブル経済の崩壊と’02年の同和対策事業法の終了により、せっかく底上げされた同和地区の生活と就労、学力と進学率の向上は阻害され、再び地区のスラム化と非行・問題行動の増加が懸念され、’03年以降は行政からの助成が無くなる中、地域が自立して諸問題を解決する必要性に遭遇しました。’00年から始まった介護保険制度は、非識字者が大半の地区高齢者の頭上を素通りする事態となり、もやいケアサービスが開業するまでは介護サービス利用者が皆無でした。読み書き能力の無さが制度の利用を困難にし、介護保険料のみが徴収されるという存在であり、無年金や生活保護者が多い地区高齢者の介護保障が焦眉の課題でした。低所得世帯や一人親世帯が多い子どもの家庭実態を踏まえての事業も喫緊の課題です。

同和地区への差別意識や偏見は、国や自治体の人権啓発や学校教育により一定の改善がなされました。しかし、６５歳以上の一般高齢者は、まだまだ地区への偏見が強く、故に地区高齢者が既存のデイサービスへの通所を希望しない現実があります。低所得者が多いので有料老人ホームへの希望は無く、一部の高所得の高齢者ですら在宅介護を希望します。幼少のころ地区外の人々からの差別言辞や排除を受けた体験がトラウマとなっており、地区内でのデイサービス事業を開始したことにより、高齢者がより元気に、より明るくなったことは私たちにとって喜びです。1922年に創設された全国水平社の歴史と伝統を受け継ぐ部落解放同盟の支援を受け、部落差別のない人権が確立された社会をめざして、福祉社会分野での地域密着型の取り組みを進めています。

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