事業成果物名 |
2008年度治安分野における法制度整備支援モデルに関する研究(2011年度実施)
|
||||||||
団体名 |
|||||||||
事業成果物概要 |
1 事業名
アジア海域の安全確保、環境保全のための海上保安能力の向上 注:本事業は2008~2013年度の継続事業であり、添付の成果物は、2011年度の成果物です。 2 目的 アジア海域における海上保安能力向上のため、海上保安大学校に日本財団講座を設置し、アジア各国の海上保安機関から研修生を受入れ研修を行う。本事業は、研修を実施する同大学校教官の能力向上を図り、研修生に対して質の高い教育を提供するため、大学校教官等が実施する研究に対し助成を行うものである。 3 研究の概要 主任研究員:河村有教(海上警察学講座 准教授) 1980年代末から、発展途上国や体制移行国に対する法整備支援(legal assistance, legal technical assistance)が活発化している。社会主義体制の改革に伴う市場化と民主化、東西冷戦構造の崩壊に伴っての不安定化や内戦によって崩壊した国家への支援の必要性によるものである。法整備支援は、法制度を用いて国家を動かし、市場と企業、そして市民社会の活動を促すことにより、各々の国家における統治(governance)を改善し、法の支配(the rule of law)の原則に従った制度改革(institutional reform)による良い統治(good governance)の構築を目的とするものであり、法整備協力(legal cooperation)、法整備協働(legal collaboration)とも呼ばれている。 わが国においても、2003年8月29日に閣議決定された「政府開発援助(ODA)大綱」(2003年改定)において「良い統治に基づく開発途上国の自助努力を支援するため、これらの国の発展の基礎となる人づくり、法・制度構築や経済社会基盤の整備に協力することは、我が国ODAの最も重要な考え方である。このため、開発途上国の自主性を尊重し、その開発戦略を重視する。」として、2008年1月の第13回海外経済協力会議において、法制度整備支援を経済協力の重要分野として位置づけられた。さらに、2009年4月には、法制度整備支援に関する局長級会議において、「法制度整備支援に関する基本方針」が出され、相手国のニーズ・案件に応じて、専門家の派遣、学者や法律実務家を中心とする国内組織からのサポート、訪日研修、留学生受入等の多様な手法を組み合わせ、有機的に連携させて、オールジャパンによる効果的な支援を実施することが確認された。 法整備支援といっても、①実定法の整備(民法・商法・刑法・訴訟法等の制定等、法律自体の整備)を目指すもの、②立法府・行政府・司法府など、法の制定・執行・裁判を通じて法に関わる機関の能力を高め、効率化し、説明責任を果たさせることを目的とするもの、③政府による法律遵守傾向の増大を目的とする司法改革等、様々なタイプのアプローチがみられる。具体的なわが国における法整備支援の手法としては、①国内支援組織の設置、②本邦研修の実施、③短期専門家派遣(現地セミナー等の実施)、④長期専門家派遣があげられる。 本研究においては、これまでフィリピンやインドネシア等、海上保安庁がアジア諸国に対して実施してきた海上保安体制・能力強化等プロジェクトについて、法務省がアジア諸国に対して行っている法整備支援や警察庁が行っている「インドネシア国家警察改革支援」のあり方と比較検証し、さらに、法整備支援をめぐる問題点を、法社会学(sociology of law)、法人類学(legal anthropology)、開発法学(law and development studies)の視点から考察した上で、とりわけ治安分野における法制度整備支援のモデルを検討することを目的とする。 |
||||||||
助成機関 |
|||||||||
事業成果物種類 |
論文
|
||||||||
事業成果物 |
|