事業成果物名 |
2017年 ラオスにおけるろう者のエンパワメント及びラオスろう協会の強化 事業報告書
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団体名 |
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事業成果物概要 |
ろう協会に所属する若いろう者が積極的に自分たちのアイデンティティである手話を社会に啓発しようという前向きな意欲が生まれた。そして自分達がろう協会組織を変革したい、自分達でしっかりと当事者主体で運営したいという意欲が高まった。2018年5月または6月には、ろう協会の会長選挙や理事改選選挙も企画され、全て若手ろう者のイニシアティブによるものである。
【みんなのカフェ】 ろうスタッフが自信をもって手話での接客ができるようになった、快いサービスを提供することで喜びを感じているのがみられる。様々なイベントに出店するとき、何を販売し、何を啓発するのか、そして何を準備するのかなど、企画などにもろう者本人たちが自分達で考え、自分達で行動を起こすことが出来るようになった。カフェの隣で働いている就労トレーニングの知的障害者たちの状況をよく理解し、的確な対応をしている。※知的障害者たちはカフェで販売している焼き菓子を作っている。 【カフェ手話教室】 ラオス入門教室を修了した受講生のための基礎クラス(24回)を新たに設置できた。 (2018年1月からスタート、現在継続中。)入門クラス修了者のために、【みんなのカフェ】にて”ろう者と手話でおしゃべりしよう”月1回のイベントを考案、実施中。この「ろう者と手話でおしゃべりしよう」イベントは口コミで一般のラオス人、駐在外国人の中で広がってきており、参加人数も増えてきている。この手話に興味のある人々がそのままろう協会のサポーターとなり、更に手話を更に向上させたいと思う人々が手話通訳者となっていくシステムが作られた。 【ラオスろう協会】 ラオスろう協会の組織を強化するため、ろう協会役員の選挙を2018年5〜6月に実施する予定、立候補応募者が10名。尚新組織が整ってから5つの小委員会(上記)も設置予定。政府の認可も受けることとなる。今後は地方のろう者にろう協会の組織支部を設立すべくアウトリーチしていく。 *成功したこととその要因 【池田専門家というピアサポ―トを体現する専門家の存在とタタ氏の連携】 ひとえにピアサポートである池田専門家の存在が大きい。池田専門家はラオスにトータルで7か月滞在し滞在前半の2か月でほぼラオス手話をマスター、ラオスのろう協会に所属する若いろう者のコミュニティに積極的に参加、信頼を醸成した。ろう協会の毎月のリーダー育成ワークショップでも池田さん自身の今までの活動や、日本のろう協会の活動と若いろう者のリーダーシップにより協会が全国に広がり、大きなDPOとなった苦難の歴史、また、手話の普及・啓発と情報保障の重要さ、など多くのトピックでラオスの若いろう者をエンパワーし、確実にろう者のリーダーシップが醸成された。ラオスコミュニティーへの手話の啓発もろう者自身が積極的に行う姿勢が随所に見られた。またもう一つの重要な成功要因は、元ダスキンアジア太平洋リーダ―育成事業の卒業生であるタタ氏との連携であり、彼女も上記育成事業でラオスから初めて招聘されたろう者であり、彼女自身がラオスろう協会のアイコン的な若いリーダーである。日本でタタ氏は多くのことを学び、ラオスろう者のリーダーシップ育成と手話の普及、手話通訳者の養成が何よりも重要と考え、帰国後はろう協会で若いラオスのろう者のグループを一人で束ねていた。タタ氏の努力と池田さんの専門性とラオスへの情熱が呼応し、良き相乗効果を生む事業となった。 【ADDPのネットワークと調整】 ラオスろう協会のタタ氏とは、タタ氏が日本で研修に参加している時からADDPは面識があり、ラオスにタタ氏が帰国後も連絡を取っていた。ADDPラオス事務所および当会の就労支援ワークショップにおいて、特にろう者が多く働くセクションにおいて、スタッフ向けの手話講座講師就任をタタ氏に依頼した。手話講師としても能力の高いタタ氏が指導する手話講座は、当会関係者に手話を学ぶことの喜びををもたらした。スタッフのモチベーションが上がり、内容もとても評判が良く、その第1期生がすでに上級コースの手話通訳候補生となっている。ADDP事務所では手話が第2の共通言語となっており、皆が手話でコミュニケーションが可能となった。タタ氏のリーダー性に早くから着眼し、池田さんの受け入れと事業の後方支援を全てADDPが行い、ラオスで過去18年障害者支援を行ってきた際に培った様々なネットワークを活用し、事業の調整を担った。 【みんなのカフェ】 手話を啓発するためには様々なツールやイベント、機会が考えられるが、当会は啓発としてもっとも有効な媒体として「カフェ」の持つ強い集客力・アピール力や人が集う利点に着眼し、カフェを手話啓発のツールとして取り入れた。「みんなのカフェ」というサインカフェをオープン、Facebookのページ、雑誌(日本人向け雑誌)、イベント出店を通して、”みんなの”カフェ”の存在が知られるようになり、ろうスタッフが接客やイベントに出店することで、簡単な手話教授や客とのふれあいを通して顔見知りが増え、接客するときの戸惑いやためらいが薄らいできた。また、みんなのカフェでは、クロスディサビリティーな連携も推進しているが、現在、ろうスタッフと知的障害者との関係が良好なのは、知的障害者の状況や理想的な対応についての勉強会を実施、ラオスろう協会副会長のタタ氏にラオス手話の通訳を依頼し、ろうスタッフに知的障害者への理解と協力を求めた。新しい障害種別を超えた連携の成功も顕著であり、みんなのカフェのユニークさが社会にアピールできている。 【ラオスろう協会】 ラオスろう協会との関係も上記経緯説明ですでに行ったので割愛するが、ダスキンリーダーシップ研修卒業研修生のタタ氏の当会へのポジティブな理解、また、ろう協会会長との粘り強い信頼関係構築が功を奏し、ラオスろう協会との良き連携が生まれたことが大変重要であった。また、ろう協会所属の若手リーダー達との良き連携を生み出す様々な協働活動がさらにろう協会から信頼を得ることにつながり、本プロジェクトの成功への後押しとなった。 |
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助成機関 |
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事業成果物種類 |
その他
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事業成果物 |
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