事業成果物名

2019年度 里親子相互支援(モッキンバード・ファミリー)パイロット事業の進捗と成果報告

団体名

事業成果物概要

里親子相互支援(モッキンバード・ファミリー)パイロット事業

事業内容と実施計画

■ 事業実施にいたる背景と地域のニーズ

本事業は、地域のベテラン里親を活用した新しい子育て支援ネットワークの構築を目的とする。具体的には、子育て経験の豊富な里親家庭を中心として、6から10家庭が一つのグループを形成し、中心の里親家庭に定期的に集い、子育ての困難について共有し合い、レスパイト(子どもを短期間預け合って互いに休息をとること)を行い、支え合う。各グループには、児童相談所や行政機関などの特定の機関が指定され、このネットワークの運営・維持を外部から支える。中心となる里親家庭につながる家族は、里親・養親・親族養育家庭などのほかに、単親家庭など、子育てに困難を抱える家族が、含まれる。
 
このモデルは、米国ワシントン州のNPO法人モッキンバード・ソサイエティで開発され、米国・英国において児童福祉の一つのモデルとして実践されている。米国・英国では、主に里親家庭の支援モデルとして用いられ、子どもの措置変更(委託される里親家庭が変更されること)数、里親を辞める家庭の数等の減少、血縁のある家族との関係の継続、家出する子どもの減少、養育者のストレスの軽減、子どもの成人後の安定性などについて、多大な効果があることが実証されている。本事業では、モッキンバード・ソサイエティと協力しながら、このモデルを日本で実現し、日本における新たな子育て支援ネットワークの構築を実現する。モッキンバード・ソサイエティでは、このモデルを「拡大家族」と呼び、子育ての困難を緩和するための疑似的な親族関係の構築と捉えている。
 
厚生労働省は、社会的養護の子どもについて、児童養護施設ではなく里親家庭への措置を優先する方針を打ち出した。これによって、里親への委託率の上昇が目指され、里親支援機関の設置が義務付けられた。しかし、多くの自治体では未だに明確な支援方針が構築できず、里親が増加することによる養育の質の低下も懸念されている。また、里親養育においては各家庭の孤立が問題となっている。子どもにとっても親にとっても同じ境遇の信頼できる家族と支え合える関係を築くことは、孤立を防ぐ重要な手段である。このモデルでは、こうした関係を支援機関が支えるという仕組みが採られる。こうして出来上がった強固なネットワークは、里親家庭に大きな安心感を抱かせる。
 
本事業の子育て支援モデルは、里親支援機関が個別に家庭を支援するという一対一の支援ではなく、信頼のできる里親家庭を中心として互いの家庭の子どもの養育を支え合い、それを児童相談所や里親支援機関が支えるという従来の子育て支援を大幅に変更するものである。これは、児童相談所・里親支援機関と里親という従来、対立関係として捉えられる傾向にあった支援を、子どもの養育を見守るチームとして組み直し、里親に単なる養育者ではなく他の家庭を支援する役割を担わせる。これによって、家庭養護のメリットを活かしながら、各家庭の孤立を防ぐだけでなく、家庭の閉鎖性のよる不適切な養育のリスクを低めることが可能となる。


■ 事業の目的

本事業は、里親家庭を中心とした子育て支援の構築を目指している。具体的には、米国のNPO団体が考案し、全米、また世界各国で採用されている『モッキンバード・ファミリーモデル』の日本への導入を企図した。る。


<事業の実施状況> 里親子相互支援パイロット事業の実施◎2019年4月からの成果

◎ モッキンバード・ファミリー・ジャパン(MFJ)の組織的な基盤づくりとパイロット・プロジェクトの効果測定のためのツールの作成

◻️ MFJがモッキンバード・ファミリー™️を日本に広めるために、この事業の1年目の取り組みとして、日本財団からの助成金をもとにパイロット・プロジェクトを実施している。同時に、今後、この事業を拡充する目的で、MFJの組織としての基礎作りを始めた。2019年1月から、国内で24回の会議、および、米国のNPO法人モッキンバード・ソサエティと8回の会議を開いた。
◻️ MFJ組織図、パンフレットなどの、団体とパイロット・プロジェクトを紹介する文書を作成した。
◻️ 米国NPO法人が作成したデータポータルの日本語版のほか、効果測定のためのMFJ独自のアンケートと、モデル実施のために必要な書類(プロトコルや契約書など)を作成した。
◻️ MFJのディレクター2名のほか、米国のエグゼクティブ・ディレクターが、パイロット・プロジェクトの実施地域を訪問し、ハブホームとホスト・エージェンシーから直接、進捗状況を聴取した上で、アドバイスを与えるなどの指導にあたった。
◻️ 8月24日には、このモデルの構築を地域で検討している養育者や児童福祉の専門職を集めて、ワークショップ型の研修を行った。50人ほどの参加者の中の数名が、今後このモデルを地域に導入する方向で、MFJとの連携を継続している。
◻️ 11月9日には、福岡市で、事業の成果を発表する「報告会」が開催され、およそ40名の関係者が半日のプログラムに参加した。

◎ 地域活動の拡充計画

現在、以下の4つの地域でのコンステレーションの立ち上げが実施されている。
◻️ 札幌市:「むぎのこ会」をホストエージェンシーとして、ベテラン里親を中心としたコンステレーションを構築中である。
◻️ 相模原市:地域のベテラン里親家庭を中心にして、数家族が協力し合いながら、コンステレーションを形成してから1年以上がたった。月例ミーティングを繰り返すうちに、子どもたちの中にもポジティブな変化が見られるようになり、里親同士のサポートも充実してきた。ホストエージェンシーを発掘することが現在の課題である。
◻️ 東京都および世田谷区:2019年の春から、世田谷区に住むベテラン里親が、地域の里親を集めて自主的に月例ミーティングを実施している。現在、東京都内で子どもと家族へのサービスを提供する社会福祉法人がホストエージェンシーとなって、世田谷区の里親がコンステレーションを構築するにあたり、重要な役割を果たしている。
◻️ 福岡市:地域の里親会が中心となり、現在3つのコンステレーションを形成してパイロット・プロジェクトが進行している。養育不調を防止するなどの効果がすでに現れているので、モデルに対する関心も深まりつつある。地域の乳児院や児童養護施設、およびNPO法人がホストエージェンシーの役割を担っている。

<事業成果物について>

◻️ 福岡市の取り組みについての3つのパワーポイント
 1) 福岡市を中心に事業の総監督を務めるディレクターのPP
2) 福岡市のハブ・ホーム(1)によるPP
  3) 福岡市のハブ・ホーム(2)によるPP

◻️ MF効果測定後の報告書(エクセル3ページ)
  ・福岡コンステレーションの報告書
  ・2019年4月から2020年5月までの世田谷区の月例会に参加した家族のリスト(匿名)
  ・米国モッキンバード・ソサエティに提出したデータ(コンステレーション内の里親家庭や児童の数、月例会やレスパイトの有無を記載)

◻️ MFJディレクターが作成したコンステレーション管理・事業の効果測定のための一連の様式とアンケート・フォーム

助成機関

事業成果物種類

報告書

事業成果物

事業成果物名

福岡市の取り組み - 現在までの歩みと成果

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事業成果物名

福岡市のコンステレーション(1)

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事業成果物名

福岡市のコンステレーション(2)

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事業成果物名

MF効果測定後の報告書

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事業成果物名

モッキンバード・ファミリー・ジャパン 様式とアンケート

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事業成果物名

里親子相互支援パイロット事業の進捗と成果報告

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