事業成果物名

2022年度フォスタリング・アセスメントの在り方に関する調査研究報告書

団体名

事業成果物概要

 2016年に改正された児童福祉法では、子どもの家庭養育優先の理念等が明確化され、都道府県の行うべき里親に関する業務(フォスタリング業務)が具体的に位置付けられた。里親養育の拡充に伴い、今後ますます整備されるフォスタリング機関において、子どもの権利擁護と、質の高い里親養育を実現するためのフォスタリング業務の実施が求められている。また、家庭養育優先の原則を踏まえて、2017年には里親等委託率について、3歳未満は 2024 年度までに75%に、また未就学児全体で2026年度までに75%、学童期以降は2029年度までに50%と、数値目標が掲げられた。子どもが委託される里親家庭が増加することは望ましいことであるが、同時に新たな課題、あるいはこれまでの課題が増幅されることとなった。例えば、日本において、里親登録は審査までいけばそのほとんどが登録されるとの一部指摘もある。その結果、未委託の里親数が増加することや、逆に、委託率を上げようとするがゆえに、準備が整わない状態で委託が始まったり、不安なままで委託開始することによって、養育がうまくいかず、いわゆる「不調」になることがあったり、さらにその「不調」を防ぐためにますます委託に慎重になる、という負の循環も起こっている。また、共通のアセスメント・フォームやアセスメントの手引きがないこともあり、自治体により里親認定の方法にばらつきがあることも課題である。そのため、共通で使用できるアセスメント・フォームの作成を含め、フォスタリング・アセスメントの過程の包括的な検討が必要であると考え、2020年度よりフォスタリング・アセスメントの在り方に関する調査研究を開始した。
 2021年度は、フォスタリング・アセスメントについての包括的な調査を行い、アセスメントのフォームづくりを目指した。その中で、フォスタリング・アセスメントに関する調査として、オーストラリア・クイーンズランド州のフォスタリング・アセスメントについてのヒアリング、フランス・パリ市を中心としたフォスタリング・アセスメントについてのヒアリング、日本のフォスタリング現場に関わるワーカーからのヒアリング調査、日本のフォスタリングに係る資料・文献の調査を行い、フォスタリングに係る専門者からなる有識者で構成する検討委員会を開催し、フォスタリング・アセスメントの在り方について検討した。
 2022年度は、それを受け、フォスタリング・アセスメントの項目の見直しを行い、そのアセスメントを行う上での訪問や面談の方法、その際の質問の仕方やツールの使い方のガイドを作成することをめざし、また同時にそのフォスタリング・アセスメントを行う上で、アセッサーの研修の内容や在り方について文献調査及びヒアリング調査を行った。委員の検討の中で、日本のフォスタリング・アセスメントにおいてはアセッサーとしての体系的な研修がないことが挙げられており、またアセスメントのフォームや項目だけを作成しても、それが機能的かつ効果的に使われるかどうか疑問が呈され、日本においてアセッサーのためのトレーニングや、フォームの使用法についてのガイドが必要であることが明らかとなった。そのため、フォスタリング・アセスメントを行うアセッサーの研修として、英国のフォスタリングに関するコンサルタントであるクリス・クリストフィデス氏にコンサルを受けクリス氏による研修を、フォスタリング業務に関わる方を受講対象として実施した。

助成機関

事業成果物種類

報告書

事業成果物

事業成果物名

2022年度フォスタリング・アセスメントの在り方に関する調査研究報告書

ファイル

形式:PDF 容量:991KB
事業成果物をダウンロードする

事業成果物名

社会的養育に関する調査研究およびプログラムの開発

URL

  • 戻る