失業対策事業の終息にあたり兵庫県、神戸市、神戸職安・明石職安との協議を重ね、失対現場の提供を受け、1994年2月に任意団体である「神戸高齢者就労事業団」を設立しました。以後、兵庫県・神戸市・職安等から公園や庁舎の清掃等の管理作業の委託を受け、高齢者、障がい者（中心は精神障がい者）の就労及び就労支援（実習訓練）の場を確保し、阪神淡路大震災の困難も乗り越えて事業を維持してきました。
企業組合神戸労協の全面支援を受けながら、公園現場などを活用し、神戸市でのホームレス者の自立・更生支援も継続してきました。
しかし、「官から民へ」など社会経済情勢が激変する下で、行政の政策的配慮もほぼ無くなっていく中で、地域・市民的理解を拡げ、より広範に高齢者、障がい者、失業者の就労の場を獲得していくことは、福祉対策としても重要であると判断し、事業団の事業実績を引継ぎ発展的に改組して、2005年6月にＮＰＯ法人を設立、同年9月に登記完了しました。
以後、一貫して高齢者、障がい者、失業者の就労推進事業、精神障がい者の就労訓練事業を維持、継続してきました。
神戸市には毎年、「障がい者就労支援に取り組む事業体」への支援、政策的配慮、優遇制度創設を要望してきましたが、２０１２年度から、神戸市が新設した「神戸市多数障害者雇用企業等認定」制度により、「神戸市多数障害者雇用企業等」との認定を受け、２０１３年度も引き続き認定を受けています。
これにより、「王子公園及び王子動物園管理作業」の請負契約を結び、日常清掃等の作業を行っています。また、「王子スポーツセンター陸上競技場等清掃業務」も行っています。
高齢者と障がい者との協働は、指導する・指導されるの関係ではなく、共に仲間として働く関係であり、精神障がい者にとっても入りやすく続けやすい形態であることから、この間で、実習訓練の受け入れを通して、10名近くの精神障がい者の一般就労移行へのお手伝いをしてきました。
現在当法人では、８名の高齢者と計５名の障がい者が就労しています。
2013年1月からは、精神障がい者を主な対象とした就労継続支援Ｂ型事業所「ケア工房ひらの」を開設し、運営しています。主な作業は、協力関係にある兵庫県高齢者生活協同組合から福祉用具の清拭の委託を受け、ボランティアで指導にきてもらうなどしながら作業を行っています。
４月からは、企業組合神戸労協と兵庫県高齢者生活協同組合ながたステーションの一部の清掃作業の委託も受け週２回の日常清掃を行い、６月からは、公園ランニングロードの一部でボランティア清掃も開始しました。
　「ケア工房ひらの」の施設長には、元精神病院ＰＳＷで就労移行支援事業所施設長も経験し、現在兵庫県精神保健福祉士協会の副会長を務める方が就任し、生活相談員には、神戸市職員として長年生活保護、ホームレス関係を担当し、退職後に知的障がい者施設の施設長も務め、現在兵庫県精神科救急情報センター相談員も務める方が就任しています。
現在、利用登録者を増やす取り組みを、ハローワーク、精神科病院、神戸市各区障害福祉部などと連携して進めています。
理事長は、元神戸市職員で2002年から企業組合神戸労協の代表理事を務める森友謙が兼務しています。

この法人は、上記の目的を達成するため、次に掲げる種類の特定非営利活動を行う。
（１）　保険、以良又は福祉の増進を図る活動
（２）　まちづくりの推進を図る活動
（３）　人権の擁護又は平和の推進を図る活動
（４）　職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
この法人は、上記の目的を達成するため、次の事業を行う。
（１）特定非営利活動に係る事業
　①各種の事業委託を受けての高齢者、障害者及び失業者の就労の推進
　②高齢者、障害者及び失業者に適した仕事、生きがいが持てる仕事の開発
　③障害者、失業者の就労支援及び自立支援に係る訓練事業
　④障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業及び地域生活支援事業
定款では以上のように規定しており、具体的活動・事業としては、次のようなことを実施しています。
就労推進事業として、神戸市の「王子公園及び王子動物園管理作業」、（公財）神戸市スポーツ教育協会の「王子スポーツセンター陸上競技場等清掃業務」、市内集合住宅ゴミステーション等清掃業務、県立舞子、明石公園等の清掃他業務などを請け、高齢者と障がい者の協働で事業を行っています。
働いている障がい者は、全員が短時間就労ですが雇用保険に加入しています。特に、王子動物園と王子スポーツセンターの現場では、当局側の理解も得て、現場を障がい者の就労に向けての実習・訓練の場として積極的に活用しています。
そこでは、高齢者と共に働く先輩障がい者たちが、実習生を支援・サポートするなどで、訓練生に好感を与え一層のヤル気を引き出すと同時に、自らも他人に援助することで成長するという成果も上がっています。　
２０１１年度から現在まで、８名の精神障がい者が実習・訓練に参加し、２名が一般就労へ移行し、他の方も就労・自立に向けての自らの課題をはっきり自覚して作業所へ戻るなど、様々な成果が上がっています。
本年１月から開設・運営を始めた就労継続支援Ｂ型事業「ケア工房ひらの」は、主に福祉用具のメンテナンスを行っています。
在宅の高齢者世帯、単身高齢者、在宅障がい者が増えている中で、特殊寝台、車イス、歩行器など福祉用具の利用が増えています。
兵庫県高齢者生活協同組合の福祉用具事業部門との連携で、レンタルが終わったり、利用者の入院・特養入所などで不要になった福祉用具を、リサイクルし、新たな利用者に供給するために、消毒・清拭・補修などのメンテナンスを行っています。
福祉用具は大きなものから小さなものまでいろいろとありますが、作業を受注し納品するためには、どうしても車が必要です。
オープンしたばかりの事業所では、車を購入する余裕がなく、今は関連グループから古い車を借りていますが、燃費が非常に悪く、途中でエンストを起こすこともあるなど、経費ばかりがかかり困っております。
福祉用具のメンテナンスは、事業所の中心的な作業で、利用者もその作業にやりがいを感じています。
このたび貴財団の車両助成を願っているのもこのような事情からです。

上記内容以外特になし。

無