特定非営利活動法人文字文化協會

基礎情報

団体ID

1357579695

法人の種類

特定非営利活動法人

団体名(法人名称)

文字文化協會

団体名ふりがな

もじぶんかきょうかい

情報開示レベル

★ ★

第三者認証マーク

団体の概要

人間はことばを使うことで人間となった。
 人間はことばを使いこなすことで文化を産んだ。
 人間はことばを、距離や時間を隔てて使えるようにと文字を作った。
 かくて先人の智慧は、文字を通じた文化遺産として伝承されることとなった。
 この伝承を確かなものにし、つなげてゆくために必要なのは、とりわけデジタル環境である。それは複写文化そのものであるから。
 文字文化協會は、あらゆる歴史的な文字遺産を電子的に表現することを目指して活動している。

 文字の背景にある、歴史的・地理的な文化背景をデジタル環境で継承し、先人の智慧を後世に残すためには、
1.歴史的に使われてきたあらゆる文字を自由に使える情報社会の共有基盤を構築するとともに、文字の背景にある、歴史と地域文化の理解を深める
2.さまざまな文化の文字を実地に扱い各種の知見を加え、電子書籍制作やデータベース・アーカイブ構築における文字使用の利便性を高める
3.標準化された文字情報との整合性を確保するとともに、利用者が必要とする文字情報が共有できる文字データベースの開発と検索ツールを提供する
ことが必要とされる。
 文字文化協會の活動は、この課題を認識理解し、その解決を目指すことに協賛するボランティアの活動に支えられている。

もともと日本語には文字がなく、中国から漢字を導入し、従来あった和語と同じ意味の漢字に訓読を付け、漢字字形から表音文字である仮名を生み出したことは良く知られるところである。さらに日本独自の「国字(和製漢字)」を作り、明治時代には西欧の抽象概念を「和製漢語」に置き換え、世界的にもまれな表意文字と表音文字が混在する「漢字仮名交じり」の日本語表記が確立した。一言で「漢字文化圏」(中国、日本、韓国、ベトナム)というが、現在日本で使われている漢字は、長い年月を経てさまざまな日本的な改良が行なわれた独自のものであり、それを見事に日本語の中に組み入れたのはまぎれもなく日本の英知なのである。
漢字には三千年の歴史があるが、この40年余りコンピュータを使って「文字を書く」ことができるようになり、この書記方法の変化が漢字にも大きな影響をもたらした。「筆に紙」の「手書き」時代から「キーボード入力」時代になり、人間と文字との付き合い方が大きく変化した。戦後占領期の1946年には「煩雑な漢字を廃止すべき」だが「当面用いる漢字」として「当用漢字」1850字が決められたが、結局日本人は漢字を捨てることはなかった。いまや画数の多い漢字もキーボードを使って容易に「書ける」ようになり、コンピュータが漢字を救ったともいえる。
日常生活では常用漢字と固有名詞漢字を合わせて約3000字もあれば十分だが、日本の文字規格であるJIS漢字には10050字が収録され、さらにUnicodeという国際的な文字コードでは漢字文化圏の約8万字の漢字字形が標準化されている。
しかし漢字には意味や音は同じだが形が違う「異体字」が数多くあり、また手で書き写していくうちに新しい形ができ、誤字や飾り字などが増えつづけ、誤った字もまじったりして複雑錯雑をきわめている。そのバリエーションは歴史的にも地域的にも広がり、一説には20万字はあるのではないかといわれる。それらの文字はそれぞれ歴史的、地域的な文化の背景を持っており、その利用は表現者の自由に委ねられるものであるが、それらがばらばらの使われ方をしており、実際に利用するにはさまざまな問題が起きている。
 IT技術がそれらの保存・利用を可能にする環境を整えたが、さらにインターネット環境の普及に伴い、大規模データベースにあらゆる文化、あらゆる時代の文字を整理登録し、検索が出来るようになった。それらの文字を「図形識別」のルールによって重複のないように収集し、読みや画数、字義、典拠などを付したデータベース『今昔文字鏡』の成果があるが、文字情報の共有基盤としてさらにその拡充・発展を目指していく必要がある。

代表者役職

理事長

代表者氏名

谷田貝 常夫

代表者氏名ふりがな

やたがい つねお

代表者兼職

主たる事業所の所在地

郵便番号

146-0085

都道府県

東京都

市区町村

大田区

市区町村ふりがな

おおたく

詳細住所

久が原3-24-6

詳細住所ふりがな

くがはら

お問い合わせ用メールアドレス

chair@pcc.or.jp

電話番号
(公開用電話番号)

電話番号

03-3753-1429

連絡先区分

自宅・携帯電話

連絡可能時間

10時00分~17時00分

連絡可能曜日

月 火 水 木 金

備考

FAX番号

FAX番号

03-3753-1429

連絡先区分

自宅・携帯電話

連絡可能時間

10時00分~17時00分

連絡可能曜日

月 火 水 木 金 土

備考

従たる事業所の所在地

郵便番号

都道府県

市区町村

市区町村ふりがな

詳細住所

詳細住所ふりがな

URL

団体ホームページ

団体ブログ

Facebook

X(旧Twitter)

代表者ホームページ(ブログ)

寄付

ボランティア

関連ページ

閲覧書類

設立年月日

2001年12月13日

法人格取得年月日(法人設立登記年月日)

2001年12月20日

活動地域

全国

中心となる活動地域(県)

東京都

最新決算総額

100万円~500万円未満

役員数・職員数合計

12名

所轄官庁

東京都

所轄官庁局課名

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活動概要

活動分野

主たる活動分野

 

高齢者、教育・学習支援、文化・芸術の振興、国際協力、国際交流、男女共同参画、ITの推進、学術研究(文学、哲学、教育学、心理学、社会学、史学)、学術研究(医学、歯学、薬学)

設立以来の主な活動実績

設立の経緯
1978年にJISの基本漢字が制定され、日本初のワードプロセッサーが登場、1980年代の後半には日本語情報処理技術の開発とともに、一般にパソコンやワープロの普及が進んだが、当時、コンピュータで文字を扱うためのデータ処理容量の制限もあり、歴史的な多漢字コンテンツのテキスト化のためには、文字のコード化と表示のための文字フォントの開発が不十分で、また漢字文化特有の異体字問題への対応も出来ず困難と混乱を生じていた。
その状況を解決すべく株式会社エーアイ・ネットが1998年に『今昔文字鏡(当時約8万字、現在16万字収載)』を開発、漢字フォントが公開されたことで学術研究者間に利用が広まったが、「官報データ」にも採用されたことで、デファクト標準に近いものになった。そこで同年、石川忠久(二松學学舎大学学長)を会長とし、谷田貝常夫(東京大学文学部卒、元私立普連土学園教頭)が事務局長となって文字情報の収集を支援する任意学術団体「文字鏡研究会」が発足し、開発者との間に100年間のフォント配布権委託契約が結ばれた。
この頃、電子政府の構想も進展し、「住民基本台帳ネットワーク」など官公庁でも漢字資料の重要性が認識され、漢字を巡って様々な展開を見せたが、そのような状況の中で漢字利用に貢献するには、法人格をもった団体が官公庁・関連企業との契約上必要であるということから、殊に経済産業省からの獎めもあり、2001年に『今昔文字鏡』成果をインターネット環境で活用推進する目的で「特定非営利活動法人」を立上げることとなった(設立時名称は「NPO文字鏡ネット」)。以後2011年に、事務所の移転に伴い名称を「NPO 文字文化協會」に変更した。
「文字図形情報共有基盤」の標準化と構築提案
文字コードに収録されない「外字」について、「文字鏡番号」のように個々の文字に番号を付けて文字番号を共有することで解決が図れる。この「文字番号」を標準化しようという取り組みとして、情報処理学会規格調査会試行標準の作業部会に委員を派遣し試行標準「文字図形識別情報」を策定し、さらにその番号を国際規格に登録している。また任意業界団体「インデックスフォント研究会」の活動を推進し、印刷出版業界がコンピュータで漢字を扱う際の諸問題を整理し「共有基盤」による解決方法を関係各方面に提案した。
多漢字コンテンツの翻訳・出版活動
多漢字コンテンツの翻訳支援や、出版企画と制作手法の確立を目指して活動を行っている。 富山大学からの委託事業では、生薬の薬物名などの精確な表記が求められる「大観本草」の翻訳作業を継続している。
さらに電子出版で、パソコンに実装されていない「外字」の表示に「文字鏡SVG(画像フォント)」を利用して、「文字化け」「ゲタ文字」をなくす手法の実効性を、実際の制作作業を通じて示している。
梵字データベースの開発制作
日本の佛教文化のなかで「梵字」が持つ意味は大きく、梵字を「文字図形情報共有基盤」に収載し、広大かつ深遠な佛教世界の理解、梵字悉曇研究の発展に資することを目指している。
梵字の字形は当代一の梵字指導者である児玉義隆師にご指導を賜り、梵字字形のフォント化を実現し、梵字検索・入力ツールを開発することで、ワープロソフトや電子書籍などデジタル環境での「梵字」利用を可能にする。

団体の目的
(定款に記載された目的)

この法人は、高齢者や女性を初めとする不特定多数の人々(以下「高齢者等」という。)に対して、高度な情報活用技能を習得するための機会を提供し高齢者等が習得した技能を活用して人類共通の文化的財産であるアジア諸国の文字や各種文献の電子化及びデータベース化を推進することにより、医療、文化、芸術及び国際協力等の分野で社会に貢献することを目的とする。

団体の活動・業務
(事業活動の概要)

目的の達成のために、次の事業を行う。
(1)東洋医学関係書物に用いられる文字情報の視覚化のための情報整備。
(2)高齢者等に対して高度情報活用技能の教育を行い、当該技能を活用する就業機会の提供。
(3)文化、芸術において重要と認められる文字及び文献の電子化並びにデータベース化を行い、電子化された文字及び文献並びにデータベースを提供。
(4)文字情報の国際的な相互交換を実現するための方法を研究し、成果を提供。
(5)男女の別や居住地に制約されず、不特定多数の者が参画できる情報産業創出のための基盤整備
(6)上記事業を達成するために必要な調査研究、情報の収集と提供
(7)会報及び出版物の発行
(定款より)

現在特に力を入れていること

『梵字大全』の制作と事業化、その成果の「梵字経文資料」の公開
「人類の進化の先に何があるのか」
人類は知的には生物の最先端となり、産業社会から情報社会へと更に進化をつづけているが、その加速度のついた進展の先に何があるのか、明るさの陰に垣間見える闇に、現代の人々は一段の危惧を抱いている。
そのような時代に《安心・(あんじん)》が得られるのは、意外にも古代人の智慧であると信じられるようになり、古代インドの文字《梵字・サンスクリット》で書かれた釈尊の教え、それを図像化した密教の《大曼荼羅》の世界が改めて注目されている。
《梵字》は密教修行のなかで師から弟子へと大切に相伝されてきたものだが、梵字を学び、古代インドのサンスクリットで真言や呪を唱えることで、超越した佛の世界と感応し「生き方」の指針を得ようという人々の願いに応えるものとなる。
大師空海が梵字を日本に請来してからすでに1200年経つが、現代に密教の残っているのは日本とチベットだけであり、この密教文化を現代に継承し、混迷する現代を生きてゆくための智慧として改めて問い直したいと考える。
『梵字大全』プロジェクトとは、世界最大級の約13,000字の梵字図形フォントを収録し、それらの梵字が表わす1,000以上の佛尊の尊名、種字、真言、陀羅尼を集大成し、広大かつ深遠な佛教世界の理解、梵字悉曇研究の発展に資するもので、梵字検索・入力ツール「梵字湧出窓」と 奈良時代の真言密教以前の佛尊を初め、平安時代以降の如来、菩薩、明王、眷属など1,000以上の尊名やその種字、真言などを梵字、ローマ字、漢字、ひらかなで展開する「尊位真言集編」のソフトウエアを頒布するとともに、このソフトを利用するボランティアによりデータ化される「般若心経」などの「経文梵字資料」をホームページで順次公開していく。

今後の活動の方向性・ビジョン

「あらゆる歴史的な文字遺産を電子的に表現する」ことを実現するための諸活動をさらに進めるが、特に「梵字データベース」は世界的にも貴重なものであり、内外の諸団体、ボランティアとの協働を図っていく。そのためには、法人事務所の開設と常駐スタッフの確保が必要であり、梵字データベースの事業化の立ち上げ資金、運用資金を寄付募集などで確保していく。

定期刊行物

団体の備考

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協働実績

助成金・補助金・物品等、他の組織から受けた支援の実績

実績なし

他のNPO・市民活動団体との協働、他の学協会との共同研究・協働の実績

情報処理学会情報規格調査会
『今昔文字鏡』の解字検索情報をもとに、データベース上の字形重複を回避するための「文字図形のユニークさを識別するための手順」を、情報処理学会情報規格調査会が進めている「試行標準」として策定するため、専門委員会に参画している。文字鏡の図形はIPSJ-TS 0002:2004「文字図形識別情報」の参照実体として2002(平成14)年に公表され、さらに2010年に更新され、SVG画像フォントとして約12万字が公開されている。
 さらに、この試行標準で識別された文字図形の情報は、国際規格ISO/IEC 10036(Information technology – Font information interchange – Procedures for registration of font-related identifiers)に登録されている。識別子(文字の図形番号)とそれが示すグリフの1対1対応が確保される仕組みで、この国際規格を翻訳した日本工業規格がJIS X 4165:2002「フォント関連識別子の登録手続き」である。 文字コードとして国際的な標準とするには長い時間を要するが、文字コードにない文字図形が標準化されたことで、ローカル処理の文字埋め込みでは、将来その文字図形の再現ができない恐れがあるが、番号を付けることで、精確な文字図形がいつでも参照できるようになった。

企業・団体との協働・共同研究の実績

富山大学(和漢医薬學総合研究所生薬資源科学)
委託事業として、生薬名漢字データベース化、富山大学所蔵の「證類大觀本草」翻訳作業を在宅担当者に依頼し継続している。
「財団法人 性の健康醫學財團」
九十五周年記念誌の一部に、戰前のアーカイブの歴史的假名遣、正漢字による記事があり、その版下作成を請け負った。
一般社団法人日本電子出版協会
2016年の製品紹介セミナー&ビジネスパートナー交流会「未来志向の技術展」で『平成漢字基本字形集』『和字正濫鈔』の電子書籍版(EPUB3)を出展し、プレゼンテーション 『EPUB3で外字異体字のバリアフリーを実現する』―汎用的な文字図形番号をキーにして、フォント実装環境に依存しない文字表示を実現する「SVG画像フォント」の実際と課題を紹介―を行った。
公益財団法人日本漢字能力検定協会・漢字博物館
博物館のモニュメント「漢字タワー」に表示する約5万字の漢字について、助言・監修を行った。
(凸版印刷株式会社、株式会社紀伊國屋書店受注2016年)

行政との協働(委託事業など)の実績

経済産業省委託事業
「コンテンツ配信型・ハイブリッドビジネスモデル実証事業(デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用促進のための外字・異体字利用環境整備調査)(2010年~2011年凸版印刷受託)において、「文字鏡研究会」「インデックスフォント研究会」とともに、実態調査に協力した。当事業は、印刷・出版・フォント業界が「字形共有基盤」を活用して外字・異体字問題を解決し、電子出版ビジネスの発展を図れる仕組みを検討し、実証環境を構築するプロジェクト。