宮城県亘理町地域復興　てしごとプロジェクト〈わたりのふぐろ〉
　復興の願いを賭けて立ち上げた手仕事プロジェクト。
そのはじまりは、震災被害を受けた呉服店からゆずり受けた着物の生地でした。
　かつて亘理に暮らす人たちは、感謝の気持ちをあらわして、相手になにかを手渡す時には、着物の残り布で仕立てておいた〈袋〉に入れていました。たとえばそれは農家の方がよそへお土産やお返しとして用いた1升の米であったそうです。特に定まった呼称はなく、今でも「ふくろ」がなまって、ただ「ふぐろ」と呼ばれています。震災により建物を取り壊すことになった亘理町内の呉服店から昭和の時代の古い生地をゆずっていただいたことをきっかけに、「ふぐろ」を再現してみました。
　私たちの町、宮城県南部に位置する亘理町は先の震災により、甚大な被害を被りました。ことに海岸地域の家々はすべて津波により失われてしまいました。今もなお多くの人々が仮設住宅での不自由な暮らしを余儀なくされているなかで、私たちは「ふぐろ」作りをはじめとした手仕事を通じ、町の復興を願うあらたな仲間とのコミュニティーを生み出そうと活動しています。
　昔ながらのゆかしい風習にならい、大切なものを包み、贈る、その感謝のこころを伝えていきたいと思っています。

代表 引 地 恵
【経歴（学歴・職歴）】
1968年2月　宮城県亘理郡亘理町生まれ　現在は名取市在住
1986年3月　宮城県第二女子高等学校（現宮城県仙台二華高等学校）卒業
1990年3月　宮城教育大学教育学部卒業
1990年4月 大日本印刷東北事業部勤務
1992年9月 大日本印刷東北事業部退職
1993年4月 亘理町役場勤務（教育委員会社会教育主事　2009.4～亘理町立郷土資料館学芸員）
2010年3月 宮城教育大学大学院教育学研究科卒業
2012年3月 亘理町役場退職
（資格など）
・高等学校教諭第1種免許状（国語）,中学校教諭第1種免許状（国語）、小学校教諭第1種免許状
・学芸員
・社会教育主事
・図書館司書、学校図書館司書
・全米NLP協会認定NLPプラクティショナー
・ヒプノセラピスト（NGH全米催眠士協会公式認定）
【被災地の復興に向けた取り組みや活動歴】
震災後は、亘理町職員としての立場で救援物資担当として体育館内で物資の搬入・搬出などに携わる傍ら、任意団体Blessing代表として地域文化伝承講座の開設や宮城大学と連携した学習支援（稲盛財団東日本大震災復興ボランティア助成事業）、日本ヒプノセラピー協会主催のメンタルケアセミナー（独立行政法人福祉医療機構　社会福祉振興助成事業）の運営などのボランティア活動を実施した。メンタルケアセミナーの運営については現在も継続している。
2012年10月に任意団体WATALISを立ち上げ、てしごとプロジェクトの活動を実施している。

○FUGUROとイチゴストラップに代表される商品の製作・販売
　亘理の里から感謝の心をこめて
「FUGURO」は古い着物地の再利用です。限られた材料で作るため、同じものはありません。ひとつひとつがオリジナル。手に取っていただく皆様とは一期一会の出会いとなります。「ふぐろ」は、亘理の地に伝わる原型を再現した復刻版と、ややモダンさを加えたアレンジ版があります。使われる生地によって様々な表情を生み出します。
大きさは原型となる1升サイズを大として、中（5合サイズ）、小（1合サイズ）があります。
店舗販売：
WATALIS（宮城県亘理町）
東急ハンズ池袋店
東急ハンズ名古屋店
国立歴史民俗博物館　Museum Shop内（千葉県佐倉市）
東北ろっけんパーク（宮城県仙台市）
東播磨生活創造センター「かこむ」（兵庫県）

Web販売：
江夏本店　http://www.enatuhonten.com/SHOP/51747/list.html
株式会社三祐　「さんゆうねっと」　http://sanyunet.co.jp/
通販サイト「chercheの森」 http://www.cherche.jp

掲載誌：
大人で可愛いナチュラル服2012年夏号（主婦の友社）
ACUMEN　July 2012（BCCJ）
ソトコト2012年8月号　№158(木楽社）
ソザイヲ、メグルタビ。Vol.2～宮城県編～　2012年10月
（株式会社JR東日本ステーションリテイリング）

○独立行政法人福祉医療機構　社会福祉振興助成事業
「みんな de 手しごとプロジェクト事業」
　製作者や地域住民を対象に、新たな人間関係の構築と地域コミュニティ創りを推進するため、年間90回の手しごとワークショップを実施する。
　後援：亘理町・亘理町教育委員会 　　　　　

【この事業に取り組む理由・動機】
１．「FUGURO」という商品の製作・販売を通して様々な人たちに感謝の気持ちを手渡したい。
２．製作者がそれぞれのライフスタイルに応じて就労できる仕組みを作ることで、女性が自分自身の技術に誇りを持ちながら仕事ができる環境を整備し、地域経済の活性化の一助としたい。
３．地域の文化や伝統を大切にし、そのよさを取り入れながら新たなものを生み出すことを、商品開発という具体的でわかりやすい形で実践するとともに、地方から国内外に発信できる場を作りたい。
４．生まれ育ったこの地で、たくさんの人とともによりよき未来をデザインすることで、私自身が生まれてはじめて“創ること”にチャレンジしたい。

【この事業をとおして実現したい地域・社会の理想像、ビジョン】
１．就労が困難な高齢者や子育て中の母親などを対象に、自らの資質を向上させるための技術研修の機会を提供することにより、高度な縫製技術を身につけ安定した就労につなげる。また、現在特定の仕事についていない初心者でも技術を身につけることができるような職業訓練の視点をもつ事業運営に努めることで、将来の就職の選択肢を広げる。
２．地域経済の活性化を促し、地域住民が主体的に自立と復興を目指す意識を高める。
３．さまざまな世代(30～70代)の製作者が集い、ともに活動することにより、高齢者や子育て中の母親の孤立化を防ぐとともに、地域が潜在的に持つ高齢者の知恵や技術を、次の世代に継承する。また、若い世代とともに学びあいながら、手しごとをすることで高齢者の生きがいづくりに寄与する。
４．町の復興を願いながら、皆が集い、ともに語り、何かを作り出す場を開設することで、互いに支えあう力を生み出し、あらたな地域コミュニティを創り出す。
５．FUGURO という商品の販売を通して、東北の伝統文化や被災地域の情報を広く国内外に発信することで、地域や国を越えた人と人の繋がりを生み出しながら、時と共に薄れゆく被災地域への社会的関心を喚起し続ける。特に、海外への販売を行う際には着物生地と各国の生地を組み合わせた商品を製作し、生地に象徴される国の風土や伝統文化を一つの商品の中で融合させることで、異文化への関心を高め理解しあうための一助とする。
＊これらは町と周辺の復興と発展に不可欠であると考えられる。

（WATALIS代表　引地　恵）

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WATALIS活動紹介
「FUGURO」をめぐるストーリー
WATALIS活動紹介（英語版）