障害者福祉の分野でノーマライゼーションが叫ばれるようになってからかなりの月日が経ちました。障害者が自らの労働により自立する環境が作られることは、社会にとって望ましいことです。こうした考え方が広まり、障害者の就労意欲は高まっているにもかかわらず、障害者を取り巻く環境は依然として厳しいものがあり、社会の障害者に対する理解不足や長引く景気の低迷などから、障害者の就労の場が少ないことが大きな問題となっています。
このような状況において、富津市に本社を置く農業生産法人株式会社千葉農産では、2010年4月から障害者を積極的に雇用してきました。2010年11月には千葉県のフレンドリーオフィス認定事業所になっています。しかし、障害者の障害の程度というのは個人差が大きく、一番多く受け入れている精神障害の方は状態のいい時期と悪い時期の落差が大きいため、その度合いによってはある程度の労働量や労働時間もこなせない方が多いということが分かりました。このようなケースでは、営利企業で雇用し、賃金を支払っていくことが難しくなってきます。
そこで、多くの障害者に就労の機会を設け、より広く受け入れていくために、非営利の組織を受け皿として作り、千葉農産や関連企業の作業の中で障害者に適性のある作業、例えば収穫した野菜の選別や加工、販売などを受託することで、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識、能力の向上のために必要な訓練の機会を創出できると考えました。
このような考えのもと、埼玉県熊谷市で同じく障害者の自立支援として、オリーブの生産や加工品の販売などに取り組む埼玉福興株式会社と協同でＮＰＯ法人を設立し、単なる福祉ではなく、しかし営利としては成り立ちにくい分野で、ソーシャルファームとして第三の働き方を作っていくこととしました。そして、担い手不足が問題となっている農業の振興と障害者の雇用を結び付ける新たなモデルを作っていきます。それがまさに農業と福祉の融合に繋がっていくと考えています。
2013年4月に千葉県木更津市に「オリーブファームかずさ」（就労継続支援Ｂ型）を開設し、千葉農産の農産物の選別・袋詰め、オリーブ製品のシール貼りやパソコン・携帯電話の解体等に取り組んでいます。また、千葉県内で毎年開かれている「ちばユニバーサル農業フェスタ」に出展し、オリーブ製品（オリーブオイル、石鹸、お茶）を販売しています。

当法人の運営する「オリーブファームかずさ」（就労継続支援Ｂ型）では、障害を持っていても働くことの喜びの場を提供し、無理のない支援を通し自立への足がかりとなる応援をしています。
現在取り組んでいる作業メニューは下記のとおりです。
・千葉農産の生産した農産物の選別や袋詰め
・オリーブ関連商品（石鹸、美容液等）のシール貼り、袋詰め、販売
・パソコンや携帯電話の解体

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