設立の経緯は設立者が３５年間、国立精神療養所に勤務し、精神障害者が抱える疾患とそれに伴う社会的問題が悲惨であることを実感していた。精神障害者は永い間、社会から隔離された空間で治療を受ける。病気は治っても家族という狭い生活空間の中で地域からは隔離された生活を余儀なくされる。こうしたことが病気は治っても社会的入院をされる一因になり、心痛めた。定年退職前に、精神障害者が地域で暮らせる場を作りたいという思いと、精神障害者を一人の人間として受け入れてくれる地域を作りたいという思いで、かつての同僚二人に呼びかけ平成１２年９月精神科小規模作業所を立ち上げた。当初の目的に沿うように、閉店していた喫茶店を借り受け、開設日から地域の食生活改善グループに働きかけ、ボランティアを毎日三人受け、お昼の定食、宅配弁当を提供する店として地域に根差す開かれた作業所として開設した。作業所として運営する食事の店は「心にも、体にもやさしい店」として地元の新聞やテレビにも幾度か取り上げられました。作業所は地域から温かい目で見られ、開設から１０年になる今も、ボランティアは毎日継続している。地域の人が直接障害者と接することが障害への理解への大きなウェイトを占めていると実感している。地域に開かれた作業所を主な活動目標にしている。

団体の活動業務としては、ワークショップパストラル（地域活動支援センター）からの流れから、平成２２年４月１日から佐賀県障害者自立支援基金特別対策事業費（基盤整備事業）や佐賀県障害者就労訓練設備等整備事業補助金などの支援を受け、就労継続支援Ｂ型事業に移行し、「ザ・かんざき」と名称を変更した事業所を運営している。ザ・かんざきでは、精神障害者のみではなく知的障害者も通所している。利用者は現在２８名である。
利用者は、弁当作り、パン作り、のり検品（これは授産収入が少ないのでやむ得ず取り入れている）、ボランティアの支援をうけ、弁当作り、配食、弁当配達を行う。弁当の配達先は当事業所に理解を示す病院、独り暮らしの独居老人宅が主である。
当事業所は公的交通機関がない田舎にある等、利用者は自宅から通所することが困難な方が多いため、スタッフが送迎をしている。６年前に佐賀県共同募金会からの支援をうけ、軽ライトバンを購入したがこれだけでは間に合わず、スタッフの自家用車をやむなく使っている現状である。パン作りは注文を受け、パンを作り、宅配する。
利用者は前述したように精神障害者が多く、日々の変化もあるため、精神状態の見極め、業務や能力に応じた作業内容の配分などスタッフは苦慮するところであるが、障害者は自分の疾患を理解してくれる人として安心感をもって接している。過去９年間、スタッフはほとんどボランティア状態で交通費程度の支給をしてきたが、本年４月１日からは常勤者３名を法定通りにおき、非常勤職員も６名をおいている。職員の給与は相変わらず低賃金で、最低時給基準をようやく満たす程度であるが、スタッフはいずれも障害者に理解を示し、共感的態度で接している為、利用者からの信頼度は厚い。

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