代表者（宗像章）の本業は中小印刷業であるが、某中堅病院の理事長との交流を通じて、国家レベルの医療費削減には医療機関の社会的役割の見直しが必要で、ビッグデータの蓄積・分析を通じた全体最適を図る必要を感じていた。現在の印刷技術はデータ処理を必然としており、この技術を使い高度な個人情報たるメディカルデータを蓄積し、生活習慣病実態の解明と健康改善効果による医療費削減効果を狙うべきと考えていた。病院理事長の方向性は余りに大規模のため、自己の範囲で可能な分野を模索した結果、狭く深い領域として観光バス業界を取り上げることとした。死傷事故が多発しているバス業界の運転手の健康改善効果を出せた時には、事故撲滅に向けた社会的効果の象徴的な事例になると確信して事業化に取り組んだ。たまたま2年前に国土交通省自動車局が「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」を行政指導方針として発表したことと重なり、現代日本の潮流となる予感のもとで人材を確保して事業化を開始した。
代表者（宗像章）の略歴は、慶応義塾大学卒業、松下電器産業経理本部資金部や事業部を経験し、後に家業の印刷会社（技秀堂）に転じて経営改革を進め、大手新聞社や主要大学を得意先とする手堅い印刷会社にしてきた。その間に文字データベース機能を活用し日本最後の百科事典出版物の「平凡社大百科事典」を電算写植機で出力するなど、印刷情報のデータベース化と深く関わってきた。その応用が今回の事業化のベースである。

2015年12月　全国バス事業者100社を集め　第1回「健康起因事故防止対策セミナー」開催
講師：国土交通省自動車局安全政策課長平井隆志氏、観光庁係長藤田祐輔氏、日本バス協会坂本調査役、生活習慣病専門医師、等
2016年1月　国交省中部運輸局主催セミナーにて支援事業者として紹介される。
現状：観光バス事業者に協会の会員として加入してもらい、所属ドライバーの健康起因事故を防止すべく生活習慣病の改善指導プログラムを実行している。健康診断データを預かり、図解入りの健康ノートを個人別に印刷し産業医・管理栄養士の指導の下で健康改善の指導を本人・バス会社と共に実行している。実際の健康改善行動と本人の性格等個人的背景をリンクさせ、健康改善の進み具合をビッグデータ化して自動車事故防止につなげるように、国交省・バス会社・その他ステークホリダーと共に事業化を目指す。
現時点では、全国の貸切バス事業者4,500社、ドライバー5万名が第1次の事業化対象者であるが、進展の具合を見て、路線バス・トラックの事業者へ拡大する予定である。
このプロセスでの課題は、数万～数十万人のデータをビッグデータ管理するためのシステム開発とその資金負担である。

創業及び基礎ルーチンワーク確立までのシステム開発投資、人件費投資、運営費用で、年間1億円弱の予算が必要になっている。2年以内に順調なビジネスモデルに仕上げて、ビッグデータの分析結果が社会改善のモデルとして寄与できるようにする予定であるが、収益構造を確立し月次で黒字転換するまでの期間、創業支援母体の技秀堂の体力だけでは心もとなく、公的な助成金の獲得を模索している。
公共性の高い事業のため一般社団法人として創業したが、これは公的機関の活動支援を受けやすいという効果がある反面、資金援助に関しては極めて限定されたものしか支援窓口がなく難渋している。

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