・設立趣旨書
伝統的な島野菜が消えつつあります。それは、私たちが永年に亘って島料理の普及活動を行う中で得た実感です。割高な小売価格による販売量の減少、それによる生産者の減少と伝統種の存続の危機。伝統野菜の危機は伝統的な郷土料理の危機でもあります。
郷土料理の普及・見直しは伝統野菜の見直しへと繋がり、ひいては地域産業の発展へと繋がります。かつて長寿の島と言われた奄美の郷土料理の普及は、島民の健康寿命の向上にも寄与する事となるでしょう。
そのためには生産から消費まで、バリューチェーンのすべての局面において、継続的な成長のための循環をつくる努力が必要となります。
これまで私たちは、勉強会や講演会等を開催して参りましたが、これからは、さらに一歩進めて実際に社会における仕組みづくりを行います。
まず市場やフォーラムの開催により、生産者・加工業者・消費者が出会う場を設けること。次に消費者に対して島野菜の伝統的調理法や新たな活用法および郷土料理の価値を伝えるなどの啓発活動を行い、流通の出口を拡大すること。そして子ども達に対しては給食等を通して食の大切さを伝え、地元の新鮮な野菜を美味しいと感じる味覚を育て、将来へ向けて地産地消の心を育むことが大切です。それらの多層的な要素の相乗効果により、生産農家の安定と育成が可能となります。
以上の取り組みを継続的に行うにあたり、栄養士や生産者など「食」の現場のプロフェッショナルの参画を得ながら行政との協働を行うことにより、価値的に地域の課題解決を図ることができます。そのために最適な組織形態が特定非営利活動法人です。また継続的な活動のために必要な資金の融通に関しましても、平成27年10月1日から施行されました信用保証制度の特定非営利活動法人への適用措置（株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律）によって、任意団体であるよりも優位に立つことが出来ます。
以上、私たちの継続的な活動によって郷土の文化が守られ、伝統野菜の生産が存続し、島民の健康寿命の向上と産業振興および地域経済の発展に寄与する事を目的とし「特定非営利活動法人 奄美食育食文化プロジェクト」を設立いたします。

理事長

ひさどめ ひろみ