瀬戸内市の南部に広がる寒風古窯跡群(国の指定史跡)は、今からおよそ1400年前、“備前焼のルーツ”といわれる須恵器が生産されていた歴史ある場所である。ここで生産された須恵器は、奈良の都へ運ばれ、税金の代わりに納められていた（国家の窯の要素が強いといわれている）。都とつながりがあることを思わせる、鴟尾（しび）や円面硯（えんめんけん）といった珍しいやきものも出土している。
　また、寒風古窯跡群を発見・調査した時實黙水氏は、岡山県の考古学の草分け的な人物で、長年の功績が認められ、昭和53年に勲六等瑞宝章を受けた。しかし、寒風の歴史や黙水氏について知っている人は地元においても少なく、地域の宝が正当に理解されていないのが実情だ。さらに、史跡を保護し、陶芸文化を広めることを目的に建てられた寒風陶芸会館も、路線バスの通らない不便な山里にあるため、年間来館者が約1万人と少なく、厳しい経営状態におかれている。
　そこで、寒風陶芸会館の活動をサポートするために、平成24年6月に寒風ボランティア協議会を設立。現在、会員数は22名。寒風古窯跡群や時實黙水氏を周知させるための様々な活動を行ってきた。
　具体的な活動実績としては、寒風陶芸会館展示資料室のガイド、史跡のガイド、イベントの手伝いをはじめ、「黙水さんまつり」の開催、寒風古窯跡群から出土した鴟尾の復元、「鴟尾展」の開催などを行ってきた。
　
　代表者・廣畑周子の略歴。１９４５（昭和２０）年3月5日生。68歳。
　昭和42年3月岡山大学卒業後、公立中学校教師を続ける。定年退職後5年間、岡山県児童相談所に非常勤で勤めた。その傍ら、ボランティア活動に携わる。

■平成25年に実施した事業
①寒風古窯跡群と寒風陶芸会館展示資料室の案内（日常的に）
②「黙水さんまつり」を主催（6月11日～6月16日）
　寒風古窯跡群を発掘・調査して、その価値を学術的に広めた地域の偉人、時　實黙水氏を知らせる活動として。
③黙水さんの紙芝居制作と紙芝居公演（同上）
　子どもたちに分かりやすく黙水氏と史跡について伝えるための活動として。
④鴟尾の復元と鴟尾展の開催
（復元：6月23日～10月5日。鴟尾展：10月16日～11月4日）
寒風から出土した鴟尾はすべて陶片なので、来館者に分かりやすく説明するため復元品を制作。
⑤寒風陶芸会館のイベントの手伝い（5月の連休や11月の陶芸祭りなど）

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