事業成果物名 |
平成29年度恵楓園入所者自治会90周年記念事業 手の彫刻「生きた軌跡…男」「生きた軌跡…女」、モニュメント「明日に生きる」、恵楓園入所者と熊本大学生の新たな関係
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団体名 |
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事業成果物概要 |
菊池恵楓園入所者自治会は平成28年(2016)を以って設立90周年を迎えた。ハンセン病療養所菊池恵楓園の中でよりよい「生」を実現していくために結成された自治会の活動は、現在ではより広がりを見せ、人権講話や平和学習の実施などにも及んでいる。
ハンセン病は、病気が進行すると指先が曲がったまま動かなくなってしまう「拘縮」という症状が出ることがある。物を自由に掴めないというのは勿論、その姿は差別の対象として忌まれるものでもあった。 曲がった指は不可逆的な症状で、ハンセン病が治癒した後にも、元に戻ることはなく、一生涯この症状とは付き合っていかなければならなかった。 ハンセン病療養所の入所者は、この曲がった手を人前では隠しながら、恥ずかしいものとしながら生活を送ってきた。 しかしながら恵楓園入所者が苦難の歴史の中で、この曲がった指と数十年以上に亘って生を共にした事実を考えれば、この曲がった指は入所者が苦しみを乗り越えて生きてきた証、生き抜いてきた証と捉えることも可能である。 近年では当園や、当園に設置された歴史資料館「社会交流会館」に人権学習の一環として訪れる人も少なくない。この”生きた証”を資料館に置き、訪れる皆に触れてもらうことで、ハンセン病の歴史を肌で感じてもらう。そのようなコンセプトから、入所者の手をかたどった彫刻を作る事業をスタートさせた。 モデルは恵楓園入所者の夫婦、昭和6年(1931)生まれの男性、昭和16年(1941)の生まれの女性に依頼した。二人はどちらも手に障がいがあり、指先に感覚が無い部分もある。 彫刻の作成については熊本大学教育学部で彫刻を専攻されている教授、大学院生に依頼することとした。 入所者の手には感覚が失われている部分もあり、また、当然曲がったまま戻らない部分があるために型取りは難航したが、この中で熊大教授・院生と、入所者2人の間に信頼関係も醸成されていった。 その中で当初は手をかたどった彫刻だけ製作の予定だったが、熊大教授からのたっての提案があり、彫刻を元にしたモニュメントの作成も行うこととなった。このモニュメントは寄り添う二つの手の下に渦巻く森が配されたデザインとなっており、入所者の情念、気迫が感じられる。 彫刻、モニュメントだけでなく、人との新たな絆が生まれたこともこの事業の成果の一つであるといえる。 手の彫刻の除幕式は平成29年11月1日、恵楓園文化祭初日、場所は文化祭作品展示場・恵楓会館ロビーにおいて行われた。この際には本財団の代表としてハンセン病資料館事務局長・池内賢二氏にも出席いただいている。 当日は多くのマスコミ関係者が集まり、その日の内に全国的に報道された。 除幕式後、手の彫刻は恵楓園社会交流会館ロビー設置され、来館者が誰でも触れることができる状態となっている。 |
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助成機関 |
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事業成果物種類 |
その他
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事業成果物 |
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