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ANNUAL REPORT 2017

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事業成果物概要

アジア太平洋地域の20カ国・地域は、同地域における寄港国検査(PSC)の協力に関する合意(MOU)を締結し、共通の基準でPSCを実施しています。当該合意は、1993年に東京で最終的に採択されたため、東京MOUと呼ばれています。
 Annual Report 2017は、東京MOUに基づく2017年の活動状況を紹介するものですが、その概況は、以下のとおりです。
1.2017年の活動状況
(1)第3回パリMOU・東京MOU合同閣僚会議の開催
2017年5月3・4日にカナダ・バンクーバーにおいて3回目となるパリMOU・
東京MOU合同閣僚会議が開催され、両MOUの加盟国37か国の代表、東京MOUの準加盟国(パナマ)及びオブザーバー当局(2の国・地域)の代表、IMO、ILO等の政府機関の代表、ICS、IACS等の非政府機関の代表が出席の下、開催されました(日本代表団代表は、大野泰正国土交通大臣政務官)。会議では、サブスタンダード船の排除という共通の目的を再確認するとともに、第2回会合
(2004年)以後の両MOUの取組みの成果について振り返った上で、今後さらに両MOUが取り組むべき行動指針等を纏めた閣僚宣言を採択しました。今後、東京MOUでは、パリMOUと協調しながら、閣僚宣言に盛り込まれた行動指針の実現に向け、取り組んでいくこととしています。
(2)集中検査キャンペーン(Concentrated Inspection Campaign(CIC))
2017年は航行の安全(SOLAS条約第V章関係)に関するCICをパリMOUと合同で実施し、期間中6,320件のCIC検査を実施しましたが、CICに関する航行停止処分率は、実施期間中の全体平均(2.75%)を大幅に下回る0.54%となる(数値は何れも速報値)など、総じて条約等の規定がよく順守されている状況が確認されました。2018年には、MARPOL条約附属書VI(大気汚染防止関係)に関するCICをパリMOUと合同で実施する予定です。
(3)劣悪船(Under-performing ships)の減少
東京MOUでは、劣悪な船舶を域内から排除するため、過去1年間に3回以上航行停止処分を受けた船舶を劣悪船(Under-performing ships)として毎月公表し、域内各港に入港する毎にPSC検査を行う措置を2011年から講じています。この措置により、劣悪船の数は年々減少し、2017年に劣悪船処分を受けた隻数は24隻と本制度を開始した2011年(91隻)と比較して、劣悪船の隻数が70%強減少しており、本制度の導入の効果によるものと評価できます。
(3)第28回PSC委員会の開催
原則として年1回開催し東京MOUの重要事項を決定するPSC委員会がロシア(ウラジオストック)にて9月に開催されました。同委員会の主要な決定事項等は次のとおりです。
① カリブ海MOUへのオブザーバー資格付与を承認
② 新検査方式(NIR:New Inspection Regime)において個々の船舶の検査頻度を決定するための指標となる船舶リスク指標の算定において、コンテナ船、過
去3年間に検査実績のない会社をISM会社としている船舶にそれぞれ2点を加点する改正を採択(2018年2月1日より実施)
③ 加盟国当局のパフォーマンス向上を支援するためのピア・サポート・レビュー制度を正式に導入することを決定
④ 第3回パリMOU・東京MOU合同閣僚会議開催結果の報告
⑤ MARPOL条約附属書IVに関するPSC検査ガイドラインをはじめとするPSC検査ガイドラインの採択及び改正の承認
(4)研修事業の実施
日本財団の御支援を得て、研修5か年計画(2016-2020年)に従って、一般研修、専門家派遣研修、PSC検査官交流研修、セミナー、及び専門研修を実施しました。2017年に実施した主な研修事業は次のとおりです。
・一般研修(8~9月、於:日本、参加者17名(うち6名はIMO費用負担による他地域MOUからの参加者))
・専門家派遣研修(フィリピン、ベトナム等5か国へ専門家派遣を実施)
・PSC検査官交流研修(日本からニュージーランドへ外国船舶監督官を派遣するなど10件の交流を実施)
・セミナー(7月、於:中国、参加者37名(うち、4名はIMO費用負担による太平洋島嶼国からの参加者))
・専門研修(11月、於:韓国、テーマ:バラスト水管理条約、参加者30名)
2.2017年のPSC検査実施結果概況
(1)概況
2017年(1-12月)の域内の検査件数は、31,315件で前年(31,678件)と比べ微減。検査1件当たりの欠陥指摘数は2.43件(前年2.56件)、航行停止処分率は3.00%(同3.44%)といずれも前年に引き続き過去最低を記録しました。東京MOUにより域内で協力してPSC検査を実施することにより一定の効果が上がっている結果と評価できます。この一方で、航行停止処分を受けた船舶1隻当たりの航行停止要因欠陥の数は過去3年間増加傾向(2015年:2.40、2016年:2.58、2017年:2.76)にあり、航行停止処分を受けた船の劣悪化が進んでいることが見受けられます。
(2)検査率
検査率(検査隻数/入港隻数)は、前年とほぼ同様の70%でした。
(3)欠陥指摘数
指摘された欠陥総数は76,108件(前年81,271件)と6.3%減少。指摘された欠陥を範疇ごとに見ると、昨年同様、火災安全措置関係が最も多く、次いで航行安全関係でした(図1参照)。
なお、2017年9月8日に発効したバラスト水管理条約については、同日付けで東京MOUのPSC対象条約に追加されましたが、発効後2017年12月末までの約4カ月間に同条約関連で261件の欠陥が報告されています。
(4)航行停止処分件数
航行停止処分件数は、1,090件(前年1,153件)であり、前年同様、航行停止処分に至った欠陥のうち、救命艇に関する欠陥が最も多数を占め、船舶・設備の保守(ISM関連)に関する欠陥、防火扉、防火区画に関する欠陥がこれに次いでいます(図2参照)。
(5)旗国格付け
旗国ごとのの登録船舶の航行停止処分率の平均値(過去3年間)を元に旗国のパフォーマンスを統計的処理により算出しその結果に応じ、Black/Gray/Whiteに分類した表を毎年の年次報告に掲載していますが、ブラックリストに掲載された国は11か国(前年は10か国)となり、ワースト1位はフィージーとなり、タンザニア、モンゴルがこれに次いでいます。なお、継続的にブラックリストに入っているカンボジアは、2016年半ばに便宜置籍船の登録を停止しましたが、この影響で、2017年東京MOUでの同国籍船の検査件数はわずか2件に減少しています。
(6)ROパフォーマンス
RO(認定検査機関)に対する評価では、”very low”及び”low”に該当するものは前年同様なく、”medium”及び”high”がそれぞれ11(前年9)及び21(同23)でした。
以上

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