事業成果物名

ANNUAL REPORT 2018

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事業成果物概要

アジア太平洋地域の20カ国・地域は、同地域における寄港国検査(PSC)の協力に関する合意(MOU)を締結し、共通の基準でPSCを実施しています。当該合意は、1993年に東京で最終的に採択されたため、東京MOUと呼ばれています。
 Annual Report 2018は、東京MOUに基づく2018年の活動状況を紹介するものですが、その概況は、以下のとおりです。
1.2018年の活動状況
(1)東京MOU締結25周年
1993年12月1日に東京においてアジア太平洋地域におけるPSCに関する協力覚書(東京MOU)が締結されてから25年目に当たることから、東京MOU事務局は、これまでの活動内容を取り纏めた冊子を作成するとともに、これを第28回PSC委員会に提出し、これまで実施したさまざまな活動を紹介しました。これを受け、委員会の参加各当局は、これまでの顕著な活動実績を振り返るとともに今後の更なる発展への決意を新たにしました。また、委員会として、発足当初から特に技術協力事業に対し、多大かつ継続的なご支援をいただいている日本財団に、深い感謝の意を表明するとともに、笹川陽平日本財団会長の東京MOUに対するご理解とかけがえのない御貢献に改めて参加者一同衷心からの謝意を表明しました。
(2)集中検査キャンペーン(Concentrated Inspection Campaign(CIC))
2018年はMARPOL条約附属書VI(大気汚染防止関係)に関するCICをパリMOUと合同で実施し、期間中6,604件のCIC検査を実施しましたが、CICに関する航行停止処分率は、実施期間中の全体平均(2.39%)を大幅に下回る0.06%となる(数値は何れも速報値)など、総じて条約等の規定がよく順守されている状況が確認されました。2019年には、非常システム及びその手順に関するCIC をパリMOUと合同で実施する予定です。
(3)劣悪船(Under-performing ships)の減少
東京MOUでは、劣悪な船舶を域内から排除するため、過去1年間に3回以上航行停止処分を受けた船舶を劣悪船(Under-performing ships)として毎月公表し、域内各港に入港する毎にPSC検査を行う措置を2011年から講じています。この措置により、劣悪船の数は年々減少し、2018年に劣悪船処分を受けた隻数は19隻と本制度を開始した2011年(91隻)と比較して、劣悪船の隻数が79%強減少しており、本制度の導入の効果によるものと評価できます。
(4)第28回PSC委員会の開催
東京MOUの加盟当局により構成され、原則として年1回開催し東京MOUの重要事項を決定するPSC委員会が中国(杭州)にて11月に開催されました。同委員会の主要な決定事項等は、次のとおりです。
① メキシコから提出された準加盟当局資格申請及びアブジャMOU(西アフリカMOU)から提出されたオブザーバー資格申請を満場一致で承認
② パナマについては3年間に亘る準加盟当局としての活動がMOUに適合していることが確認されたため、今後、正式加盟当局としての申請を受理した上で調査チームによる現地調査を行い、次回PSC委員会において同調査の結果を踏まえ正式加盟当局としての要件を満たしているか審議することを決定
③ 2020年1月に施行される船舶燃料の硫黄分上限規制の確実な実施に資するため、施行1年前の2019年1月からPSC検査の際に注意喚起文書を船側に手交する広報キャンペーンをパリMOUと合同で実施することに合意
④ 2017年5月に開催されたパリMOU・東京MOU合同関係閣僚会議の閣僚宣言に盛り込まれた行動計画について審議し、ばら積み貨物の輸送の安全の確保向上策として荷送り人等関係者に対する啓蒙プログラムを推進するとともにガイドラインを作成することに合意
⑤ 2017年に実施した「航行の安全」に関する集中検査キャンペーン(CIC)報告書を承認するとともに、2020年には、パリMOUと合同で「復原性全般」をテーマに集中検査キャンペーン(CIC)を行うことを承認
(5)研修事業の実施
研修5か年計画(2016-2020年)に従って、一般研修、専門家派遣研修、PSC検査官交流研修、セミナー等を日本財団のご支援を得て実施しました。2018年に実施した主な研修事業は次のとおりです。
・一般研修(8~9月、於:日本、参加者24名(うち7名はIMO費用負担による他地域MOUからの参加者))
・専門家派遣研修(日本からベトナム及びフィジーへ専門家派遣を実施)
・PSC検査官交流研修(日本からマレーシアへ外国船舶監督官を派遣するなど7件の交流を実施)
・セミナー(7月、於:マレーシア、参加者26か国・地域から53名(うち、3名はIMO費用負担による太平洋島嶼国からの参加者))
・インド洋MOU事務局の要請によるPSC検査官研修(10月、於:ケニア、参加者23名、IMOと共同開催、東京MOU事務局は、専門家の選定(カナダ、チリ及び中国)、研修プログラムの作成を行うととともに、職員を派遣し研修のコーディネーターを実施)
2.2018年のPSC検査実施結果概況
(1)概況
2018年(1-12月)の域内の検査件数は、31,589件で前年(31,315件)と比べ微増しました。検査1件当たりの欠陥指摘数は2.32件(前年2.43件)、航行停止処分率は2.96%(同3.00%)といずれも前年に引き続き過去最低を記録しました。東京MOUにより域内で協力してPSC検査を実施することにより一定の効果が上がっている結果と評価できます。この一方で、航行停止処分を受けた船舶1隻当たりの航行停止要因欠陥の数は2015年から3年間の増加傾向がやや減少したものの(2015年:2.40、2016年:2.58、2017年:2.76、2018 年:2.50)、依然として大幅な改善には至っておらず、航行停止処分を受けた船の劣悪な状況が継続していることが見受けられます。
(2)検査率
検査率(検査隻数/入港隻数)は、前年とほぼ同様の70%でした。
(3)欠陥指摘数
指摘された欠陥総数は73,441件(前年76,108件)と3.5%減少。指摘された欠陥を範疇ごとに見ると、昨年同様、火災安全措置関係が最も多く、次いで航行安全関係でした。
(4)航行停止処分件数
航行停止処分件数は、934件(前年941件)であり、7件減少しました。航行停止処分に至った欠陥のうち、防火ダンパー(火災安全)に関する欠陥が最も多数を占め、汚水処理装置(MARPOL附属書IV)に関する欠陥、船舶・設備の保守(ISM)に関する欠陥、救命艇に関する欠陥、油水分離器(MARPOL附属書I)に関する欠陥がこれに次いでいます。
(5)旗国格付け
旗国ごとの登録船舶の航行停止処分率の平均値(過去3年間)を元に旗国のパフォーマンスを統計的処理により算出しその結果に応じ、Black/Gray/Whiteに分類した表を毎年の年次報告に掲載していますが、ブラックリストに掲載された国は12か国(前年は11か国)となり、ワースト1位はフィジーとなり、タンザニア、カンボジアがこれに次いでいます。なお、継続的にブラックリストに入っているカンボジアは、2016年半ばに便宜置籍船の登録を停止しましたが、この影響で、2018年では東京MOU域内での同国籍船の検査は記録されていません。
(6)ROパフォーマンス
RO(認定検査機関)に対する評価では、”very low”及び”low”に該当するものは前年同様なく、”medium”及び”high”がそれぞれ15(前年11)及び18(同21)でした。
以上

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ポートステートコントロールの支援に係る環境整備

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