事業成果物名 |
2020年度刑務所出所者等の職場定着支援事業報告書
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事業成果物概要 |
2020年度刑務所出所者等の職場定着支援事業報告
特定非営利活動法人大阪府就労支援事業者機構 第1 事業計画概要 この事業は、大阪機構の職場定着支援員が、職親企業による就職内定見込みのある者に対し、矯正施設在 所・在院中の採用面接から出所後の就労まで、個々の支援対象者の特性を踏まえた継続的かつきめ細やかな 寄添い型の支援をシームレスに行い、刑務所出所者等の職場定着支援事業をモデル的に行うもので、事業期 間は令和元年10月1日から令和3年3月31日までとした。 助成事業対象者の40名については、職親企業対象者から20名、更生保護就労支援事業対象者から20 名 を選定することにした。 事業内容として、受刑者等のアセスメント実施及び支援計画作成、職場定着支援の実施、協議会の開催、 ガイドブックの製作、配布を計画の柱とした。 第2. 事業実施内容 1.受刑者等のアセスメント実施及び支援計画作成 (1)内容: a.問題傾向、障害、依存症等の特性調査 ① 職親企業対象者:在所中に助成事業対象者に選定された4名のうち仮釈放になった2名に対して、問題 傾向、障害、依存症等の特性調査等によるアセスメントを実施している。 ② 更生保護就労支援事業対象者:在所中に助成事業対象者に選定された14名のうち仮釈放後の職場定着 支援に同意まで進んだ11名に対してアセスメントを実施している。 b.特性調査に基づく支援計画作成 前記でアセスメントをした職親企業対象者2名及び更生保護就労支援事業対象者11名の計13名に対し て職場定着支援計画書を策定した。 (2)対象:協力雇用主の内定を得た受刑者等40名程度 この事業は、職親企業対象者を中心として企画されたが、その有効性を比較検討するために、比較対象群 として更生保護就労支援事業対象者をも対象者として選定することにした。 a.職親企業対象者 想定では、矯正施設在所・在院中に職親企業による就職内定が見込まれる者20名であったところ、事業 対象者に選定されたのは4名で達成率20%で、このうち仮釈放になったのは2名で達成率10%だった。 b.更生保護就労支援事業対象者 想定では、大阪機構の支援により協力雇用主の下に就職内定が見込まれる者20名であったところ、事業 対象者に選定されたのは14名で達成率70%で、このうち仮釈放放後の職場定着支援に同意まで進んだの は11名で達成率55%だった。 2.職場定着支援の実施 (1) 職場定着支援の個別の実施状況 職場定着支援の個別の実施状況は、別添「職場定着支援の個別の実施状況」のとおりである。以下、職 親企業対象者と更生保護就労支援対象者に分けて説明する。 ① 職親企業対象者 別添表1「職親企業対象者への支援状況」のとおり、在所中の者4名に対して採用面接等の支援をし、 このうち仮釈放になった2名に対して職場定着等の支援をしている。(残り2名は満期釈放で終了) ② 更生保護就労支援事業対象者 別添表2「更生保護就労支援事業対象者への支援状況」のとおり、在所中の者14名に対して採用面接 等の支援をし、このうち仮釈放等になった11名に対して職場定着等の支援をしている。(残り3名のう ち、1 名は事業主の採用取止めで、2名は仮退院当日に支援辞退で終了) (2)支援内容: a.矯正施設内及び出所後の継続的な面談 個々の事業対象者への支援の回数は、別添表1及び表2のとおりである。 b.協力雇用主に対する受入環境構築支援 個々の協力雇用主への支援の回数は、別添表1及び表2のとおりである。 (2)支援回数: a.受刑者等 保護観察所或いは矯正施設から、新型コロナウイルス感染防止のため、面接相談等直接的接触は控えるよ うに要請されたこともあり、面接相談の回数は想定(在所中2回、出所後2回月×6カ月)を下回っている。 出所後の支援については、月1回程度面接相談を基本にし、架電或いはメール等を補助的に活用して実施 した。 b.協力雇用主 事業対象者の所在不明、出張先からの出奔等の事故のある事例を除き、同様の理由で想定(在所中2回、 出所後1回/月×6カ月所中2回、出所後月1回)を下回っているが、可能な限り月1回程度面接相談を基 本にし、架電等で対応した。 3.協議会の開催 (1)内容:協力雇用主、専門家等との意見交換 (2)時期:2021年1月予定(1回) 職親企業等を対象とする協議会を、令和3年3月26日 大阪保護観察所会議室で開催した。参加者は、 職親企業等5社7人(想定は22社、達成率22.7%)、大阪保護観察所2人、日本財団3人、当機構4 人であった。 協議会では、「刑務所出所者等の職場定着支援事業」に係る事業報告、定着支援事例分析、「リーフレッ ト(職場適応・定着のために)」説明及び質疑応答を行った。 4.ガイドブックの製作、配布 (1)内容:職場定着支援の手法に関するガイドブック製作 本事業での支援事例を通じ、或いはこれまでの就労支援の実際を通じて得た知見を活かし、新たに刑務所 出所者等を雇用しようとする事業主等に対して採用から定着までのノウハウの蓄積したガイドブックの製作 を企画した。 ガイドブックの執筆については、慶應義塾大学商学部中島隆信教授、更生保護法人心寮施設長(前全国就 労支援事業者機構事務局長西村穣氏及び当機構事務局長松田慎一が分担することとし、慶應義塾大学商学部 中島隆信教授には監修をも依頼した。 加えて、ガイドブックの製作に当たっては、法務省保護局更生保護振興課地域連携・社会復帰支援室の全 面的に協力を得た。 令和3年3月に、ガイドブックとして、「リーフレット『職場適応・定着のために(ダイジェスト版、解 説版)』を製作した。 (2)部数:3、000部 令和3年3月にリーフレットのダイジェスト版及び解説版をそれぞれ3、000冊を印刷・発行した。 (3)配布:全国の協力雇用主会、保護観察所等へ配布 このリーフレットについては、令和3年3月中に更生保護官署を始め、関係機関・団体に送付した。 職親プロジェクトの大阪市内で開催予定の会議でも配布する予定でいる。 第3.事業目標の達成状況: 1.職場定着状況(定着率) 職場定着支援期間については、別添の表1及び表2を整理すると次のとおりとなる。 (1)職親企業対象者: 2名 支援期間満了者 2名 (2)更生保護就労支援事業対象者: 11名 支援期間満了者 2名 中途終了者 9名 職場定着状況については、職親企業対象者群と更生保護就労支援事業対象者群とで大きな差が出た。 職親企業対象者は、2名とも支援期間満了で終了している。この2名について6月経過時に雇用主に照会す ると、2名とも就労継続中で、職場定着期間の6月超は100%となる。 一方、更生保護就労支援事業対象者の職場定着期間の3月超は3名(27.3%)、6月超は2名(18.2%)となっている。 職親企業対象者群で職場定着事例が少ないため断定的なことは言えないが、本事業では、職親プロジェクトのシステムが職場定着には有効に機能していたと考えられる。 2.職場定着に有効なノウハウの蓄積 本事業での支援事例を通じ、或いはこれまでの就労支援の実際を通じて得た知見を活かし、刑務所出所者等 を雇用しようとする事業主に対して採用から定着までのノウハウの蓄積したガイドブックとして、「リーフレ ット『職場適応・定着のために(ダイジェスト版、解説版)』の制作し、ダイジェスト版及び解説版をそれぞ れ3、000冊を印刷・発行した。 第4.事業実施によって得られた成果: 1. 「リーフレット『職場適応・定着のために(ダイジェスト版、解説版)』の発行 一番大きな成果は、ガイドブックとして、「リーフレット『職場適応・定着のために(ダイジェスト版、 解説版)』を制作し発行したことである。 このリーフレットは協力雇用主の受刑者等を雇用する際の不安をも和らげることを目的として作られ、受 入準備から職場定着までのプロセス、トラブル発生時の対処方法、将来的な見通しなどについての解説に加 え、利用可能な支援制度の紹介している。 協力雇用主には、このリーフレットを活用し、雇用創出という社会貢献をさらに一歩進めてもらいたいと 考える。 2. 仕事フォーラムと職場定着への高いモチベーション 職場定着の支援事例が少ないので、定量的な分析を深めることは困難であるが、本事業に実施を通じての 感想になるが、職親企業対象者群と更生保護就労支援事業対象者群を比較し、職親企業対象者群に特徴的と 思われる仕事フォーラムと高いモチベーションの関係について私見を説明したい。 職親企業対象者群は、就職を希望する事業所の選定に当たって、全員が矯正施設で実施された仕事フォー ラムで事業主等によるプレゼンテーションがきっかけとなったと申述している。 一般的に、受刑者は今度出所したら、立ち直りたいと考えている。 受刑者である対象者は事業主等によるプレゼンテーションを聞いて、この職場なら生活を一からやり直 し、立ち直ることが可能と判断したとも述べている。 このため、内定した企業で働くことのモチベーションが極めて高い。 自己就職、事故などで支援を終了している者の数を見ると、職親企業対象者群は0名であるのたいして、 更生保護就労支援事業対象者群では9名となっていることからも明らかである。 就労へのモチベーションを高め職場定着を進めるために、仕事フォーラムの意義は極めて高いと考える 。 これからも、仕事フォーラムの継続及び実施の拡大を期待したい。 |
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