特定非営利活動法人特定非営利活動法人 岡山マインド「こころ」

基礎情報

団体ID

1539691061

法人の種類

特定非営利活動法人

団体名(法人名称)

特定非営利活動法人 岡山マインド「こころ」

団体名ふりがな

とくていひえいりかつどうほうじん おかやままいんどこころ

情報開示レベル

★ ★ ★ ★

第三者認証マーク

岡山NPOセンター

認証日:2010年3月17日

団体の概要

 私たちNPOは、多くの精神障害当事者が正会員として活動の中心を担い、サービスを与えられる存在から、「必要なものは自分たちでつくる」をモットーに、自分たちの会社として運営されています。活動は当事者が主体で、この「当事者中心」の理念は他にない私たちの宝物だと自負しています。
 毎週火曜日の当事者会や月一回の定例会など、法人の活動は当事者各人がその決定にキチンと参画しています。法人の目的を共有しながら、当事者が堂々と自らの「障害」を隠さず、自身の「病」のことを語り合いながら、仲間と共に「当たり前」の苦労をしながら活動をしています。
 以下に具体的な活動の一部をご紹介いたします。
 倉敷市においては、倉敷地域自立支援協議会が中央にありますが、その専門部会の一つとして、「テーブルまび(小地域の自立支援協議会)」を私たちが運営委託されていました。「テーブルまび」は、精神障害当事者たちが中心で、他の障害を持つ人たちや家族の人たち、地域の方々や多様な人々を迎え入れています。語る事のできない人たちの事を代弁・翻訳しながら、自らの障害と他の人の障害をつなぎ、連帯していくこと、参加者の悩みを聞き、それに共感し、アドバイスしていくことなど、同じ「障害の辛さ」を経験した当事者だからこそできる、やさしく懐の深い場です。また、精神障害者を中心に、さまざまな障害当事者が参加する「テーブルまび」から、地域包括ケアシステムを見越して、高齢分野や児童分野、医療機関、行政・社協・ボランティア団体とも顔の見える関係づくりを目的に、「真備地区関係機関・事業所等連絡会(真備連絡会)」を2015年10月から発足させ、当事者参加の任意の会として現在まで毎月開催しています。
 また、当事者の「語り」は、さまざまな場所へ呼ばれ、障害への理解、一人ひとりの心のバリアフリーに向けての発信・啓発活動となっています。昨年度は年間20数回の講演活動をこなし、中学校の「こころの『病』を学ぶ授業」や福祉系大学の授業にも参画しています。私たちを呼んでくださる団体や機関も多様化しており、保健所、社協・地区社協、民生・愛育委員会、教育委員会、大学、中学校、公民館、まちづくり推進協議会、商工会などにも広がっています。倉敷市社会福祉協議会が策定する「第三次地域福祉活動計画策定委員会」でも、地域住民や教育機関への啓発活動として、私たちを実施団体とする事業案が組み込まれていますし、私たちが行って来た啓発活動が評価され、さらなる広がりを創り出しています。
 「地域移行」にも力を入れ、市内の全閉鎖の精神科病院との音楽交流会は75回目を迎え、すでにその病院に13年~40年以上入院されていた方7名を私たちのグループホームにお迎えしました。
 2014年、倉敷地域自立支援協議会が主催する「第10回記念 くらしきフォーラム」では、シンガーソングライターの沢知恵さん(ハンセン療養所大島青松園と交流を持つ)の記念コンサートとコラボし、当事者が自ら作詞・作曲し歌うマインドの当事者グループバンドの歌を届けることもできました。沢さんとはその後も交流が続き、地ビールのイベントではビールを注ぐ助っ人にもお越しくださり、親交を重ねています。私たちが閉鎖の精神科病院の中で開く音楽交流会にもお越しくださり、病院内でのコンサートが実現いたしました。
 このように私たちの活動は、自分達が幸せになるには、他の人たちと一緒にという発想の上で成り立っています。私たちはそれぞれが抱える生きづらさを笑い飛ばしながら、半径30メートルから変える活動を続け、20年かけて地域に「土着」することができました。障害当事者が暮らしの苦労を引き受け、お互いに支え合いながら「仲間」として地域に暮らす姿は、地域の人々の心に当たり前の風景を刻み込んでいきました。
 地ビール醸造・販売事業は平成30年7月西日本豪雨災害やその後のコロナ禍で疲弊し、開業から12年を迎える昨年度末で廃業いたしました。これまで醸造所に併設するビアホール「Beerまび」では、毎週末になると常連のお客さんたちが大勢お越しくださいました。立ち上げ当時は反対されていた地域の方々も、今ではお客さんとしてご利用くださいました。
 私たちはお金をいただいて「ありがとうございました」、お客さんは「美味しかったよ、ありがとう」。この「ありがとう」のやり取りが双方向にできる仕組みとして、「障害の理解」等のむずかしい話を抜きにして交流できる、偏見除去の取り組みでした。
 この地ビール醸造・販売事業には、5名の当事者が働き、時給720円から800円、最低賃金をクリアし、何より障害者総合支援法の福祉サービスに組み込まず、独自の事業として商いをしてきたことを声を大きくして言いたいです。地ビール関連の各種イベントにも参加し、「当たり前」に商いをすること、本物の美味しい、安価な地ビールをお届けすることで、岡山では有名な存在になっていました。地元真備町でも「まちの誇り」としてみなさんが認知してくださるようになってきました。これも当事者が前に出て、積み重ねてきた私たち法人の宝物です。今年度はJR西日本さんが地域の「あっぱれ大賞」に選んでくださり、瀬戸内芸術祭用に仕立てられた特別列車「ラ・マル・ド・ボア(旅行鞄)」の車中販売用特別ビールにお使いいただいたり、倉敷市で開催された、G7サミット教育大臣会合の地元歓迎会で使っていただいたりなど、可愛がっていただきました。
 以上、私たちの活動は「啓発活動」「福祉サービス創出」「地域移行」「まちづくり」など、多岐にわたり、そのすべてを当事者中心で行っていることを強くアピールしたいです。

 

代表者役職

代表理事

代表者氏名

多田 伸志

代表者氏名ふりがな

ただ しんじ

代表者兼職

主たる事業所の所在地

郵便番号

710-1301

都道府県

岡山県

市区町村

倉敷市

市区町村ふりがな

くらしきし

詳細住所

真備町箭田1679番地2

詳細住所ふりがな

まびちょうやた

お問い合わせ用メールアドレス

mindkokoro@mbr.nifty.com

電話番号
(公開用電話番号)

電話番号

086-697-0206

連絡先区分

事務所・勤務先

連絡可能時間

10時00分~17時00分

連絡可能曜日

月 火 水 木 金 土 日

備考

FAX番号

FAX番号

086-697-0206

連絡先区分

事務所・勤務先

連絡可能時間

10時00分~17時00分

連絡可能曜日

月 火 水 木 金 土 日

備考

従たる事業所の所在地

郵便番号

都道府県

市区町村

市区町村ふりがな

詳細住所

詳細住所ふりがな

URL

団体ホームページ

団体ブログ

Facebook

X(旧Twitter)

代表者ホームページ(ブログ)

寄付

ボランティア

関連ページ

閲覧書類

設立年月日

2001年3月25日

法人格取得年月日(法人設立登記年月日)

2002年3月22日

活動地域

市区町村内

中心となる活動地域(県)

岡山県

最新決算総額

5,000万円~1億円未満

役員数・職員数合計

20名

所轄官庁

岡山県

所轄官庁局課名

岡山県県民生活交通課
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活動概要

活動分野

主たる活動分野

 

障がい者、福祉、保健・医療、地域・まちづくり

設立以来の主な活動実績

平成15年12月、自分たちで事務所兼店舗を建設し、平成17年3月からは毎月「くらしき三斎市」に出店開始。また啓発・交流を目的とした事業として、平成17年度までは「マインド音楽会 新井英一ライヴ・イン真備」と「マインド精神保健福祉講座」を二年連続で行う。平成18年度は、「べてるの家・イン真備」を開催。また平成19年度、20年度倉敷市民企画提案事業として「テーブルまびに向けて」を実施。「テーブルまびに向けて」の「テーブルまび」は、当事者中心の地域自立支援協議会真備町版。平成19年度倉敷市民企画提案事業「テーブルまびに向けて」では、毎月第二日曜日、地元の公民館で集まりを持ち、当事者の生の声を語う。そして地元の大ホールで、「新井英一ライヴ・インまびVOL.3」を開催。当初、筑紫哲也さんも一緒に来演予定でしたが、ご病気のためご辞退される。また地元の中学校吹奏楽部のみなさんと「ボチボチまつり」を開催しました。平成21年度からは正式にオフィシャルな会として、「テーブルまび」が立ち上がり、現在も新たなメンバーを迎えながら継続しる。また、平成23年5月よりグループホーム事業と地ビール醸造販売事業を開始し、様々な講演活動や当事者活動も積極的に行う。平成24年度には、倉敷市内の当事者会の方々と共同で「第5回ボチボチまつり」を開催し、そのつながりをもとに倉敷市の当事者会「かけはし会議 in くらしき」が発足。
平成25年度~26年度にかけては、当事者活動の充実がめざましく、各種講演会への講師派遣や、岡山県精神保健福祉協会が行った「アドボケーター派遣事業」に参加し、ピアスタッフが二つの精神科病院へ毎週通い、その一つの病院とはマインドとの関係性が深まって、閉鎖病棟の中で音楽機材を持ち込んで音楽交流会を隔週で開催。この交流会は現在継続中で、83回目を数え、長期入院者が5年間で88名の退院につながる。「テーブルまび(真備地域自立支援協議会)」も継続しながら、高齢分野の各種機関と一緒にテーブルを囲む「真備連絡会(真備地区関係機関・事業所等連絡会)」も生み出す。グループホーム事業も長期入院者の受け入れを積極的に行い、現在23室を町内に展開し、当事者同士で支えあい暮らしている。当事者が運営する当事者活動の拠点として、小規模作業所「マインド作業所」も平成26年4月から運営を開始し、当事者スタッフが運営に参画している。独自の収益事業として当事者で運営する「地ビール醸造・販売事業」も永久免許の取得もでき、地元の方々に愛されるビール醸造所として認知されましたが、残念ながら昨年度末で廃業した。倉敷で開発された(岡山大学資源植物科学研究所:倉敷市)ビール大麦を使って製麦し、本物の地産地消の地ビールをつくるプロジェクトが始まっていたが、平成30年7月西日本豪雨災害で大きく被災し、令和6年度、やっと製麦プラントの再整備が実現し、新たなチャレンジが始まる予定。
また、当事者活動のクオリティーが高くなり、令和6年4月8日には、大阪でイタリア・トレント市の元精神保健局長レンツォ・ステファニ医師や当事者グループESPの方々をお招きし、マインドの当事者とのセッションも行い、親交を深めました。
代表者は、昭和63年から平成23年まで、精神科病院PSW。

団体の目的
(定款に記載された目的)

 私たちは倉敷地域で暮らす心の「病」を抱えた当事者・家族の方々が、安心して生活できる支援体制と、やさしい地域づくりを目的に、平成14年3月に設立したNPO法人です。会員は正会員が30名、賛助会員16名の小さな集まりですが、その内20名の精神障害当事者正会員が参加しており、私たち法人の活動の中心を担っています。
 私たちの活動には大きく二つの柱があります。一つは当事者による自助・就労活動です。「くらしき三斎市」や各種イベントにも出店し、平成23年度には新たな拠点を整備し、仲間同士で支えあって暮らすためのグループホーム事業と、地ビール醸造・販売事業を立ち上げ、併設のビアホールの運営も始めました。グループホーム事業は、長期入院者の地域移行に重点を置き、現在、町内の普通の一軒家やアパートの一部をお借りしながら22室運営しています。
 地ビール醸造・販売事業は、訓練等給付を使わず、独自の収益事業として、醸造・小売酒販・ビアホールの運営を行っていましたが、昨年度末に一旦廃業するに至りました。どちらの事業にも当事者スタッフが参画し、最低賃金以上の給与を当たり前に受けています。
 もう一つの活動の柱は、啓発・交流を目的とした事業です。「土着」をテーマに、地域の溝掃除、公民館脇の花壇の花植え、地元の祭りへの出店などをしながら、様々なイベントを地域の方々と一緒に行っています。また、倉敷市保健所や地区社協、民生・愛育委員会、教育委員会など、さまざまな機関からの講演依頼を受け、年間20回以上の当事者による講演会をこなしながら、精神科病院との音楽交流会(隔週、現在75回目)も行い、地域移行へのモチベーションを高める活動も行っています。
 障害状態になった時、誰でもが安心して暮らせる地域づくりと支援体制づくりを目的に、お互いが平らな目線で暮らせる社会を目指しています。

団体の活動・業務
(事業活動の概要)

 私たちは地域に土着して、半径三十メートルから人の心を変えようと思っています。ですから、私たちは「隠す」ことをできるだけしないように、しなくてすむような地域を作るための活動を日々重ねています。それは普通に苦労しながら共に生きる事、それを当たり前の風景にしていく事です。そのためには、やはり当事者が前に立ち、その後を支援者達が支えること、言い換えれば、当事者の人たちが苦労しながらでも、自分達の自己実現できる世界を創り上げる事です。
私たちの活動・業務は、失われつつあるコミュニティーの再生・改革、「こころのバリアフリー」を持つふくよかな地域づくりと言ってもよいと思います。

 団体の活動・業務、事業活動の概要は、

①:「テーブルまび(真備町自立支援協議会)」の運営
   ・平成19年から毎月第二日曜日の午後1時~3時、地元の公民館で開催しています。
   ・当事者が主体の地域自立支援協議会です。
   ・2016年度から、「まび連絡会(真備地区関係機関・事業所等連絡会)」を立ち上げ、町
    内の高齢分野事業所(特養×2、老健、小規模多機能、高齢者支援センター×2等)と同じ  
    テーブルを囲んでいます。

②:交流事業
   ・地元のまちづくり推進協議会人たちと「地ビールと音楽の夕べ」を開催
   ・地元の中学校と協働で、「ボチボチまつり」を開催
   ・倉敷地区の当事者会のみなさんと「かけはし会議」を発足し、交流イベントを開催
   ・その他、地域のさまざまな行事に当事者が参画している

③:啓発・講演、当事者活動
   ・2015年度から地域活動支援センターⅢ型「マインド作業所」を開設する(当事者活動の拠
    点)
   ・倉敷市保健所、地区社協、民生・愛育委員会、くらしき心ほっとサポーター、市教育委員会    
    等からの講演依頼を受け、年間20回以上の当事者による講演活動をこなす
   ・倉敷神経科病院さんとの音楽交流会の開催(隔週、現在75回目)
   ・アドボケーター派遣事業(岡山県精神保健福祉協会の事業)に二年間続けて参加し、当事者
    による代弁の有効性を実証する

④:グループホーム事業の運営
   ・現在、町内に一般の住宅やアパートの一部を賃借し、22室を運営している
   ・本体住居がビアホールに隣接しており、地域の接点として地域との交流の場となっている
   ・当事者スタッフもおり、総勢スタッフ数15名、きめ細やかな支援体制を構築している
   ・当事者同士のつながりが強く、お互い同士の支援が成り立っている

⑤:地域活動支援センターⅢ型「マインド作業所」の運営
   ・倉敷市の英断により一昨年度「小規模作業所」として新規開設、当事者スタッフとともに運    
    営中
   ・マインドの当事者活動の拠点(③の活動拠点)
   ・毎週火曜日午後1時半~3時、「作業所当事者会」をしながら、当事者が運営の中心
   ・作業所の作業として、ビール瓶のラベルづくり、ラベル貼り等、また、リサイクル瓶の洗浄    
    などの他、地域の高齢者への弁当宅配ボランティア、花壇の整備、コーヒー販売事業などを        
    行っている
   ・全閉鎖の精神科病院との音楽交流会もマインド作業所の事業として行われている
   ・マインド親子クラブ(年3回~4回開催)を開催している
   ・マインド駄菓子屋(隔週土曜日開店)に大勢の地元の子どもたちが遊びに来る
   ・ビール醸造の原料となる麦芽を製造するプラントの再整備を行っている

⑥:地ビール醸造・販売事業の運営(昨年度末で廃止)
   ・醸造部門は、一昨年度、10,000リットル醸造し、永久醸造免許を取得する
   ・小売酒販部門は、各種イベントへの出店、飲食店等への配達も行っている
   ・併設ビアホール「Beerまび」を毎週末オープンし、地元の方々が大勢利用している
   ・上記は独自の収益事業であり、現在5名の当事者が就労している(健常者スタッフ2名)

 以上が主だった団体の活動概況です。

 この他にもさまざまな活動を日々積み重ねています。



現在特に力を入れていること

 倉敷市は人口48万人の中核市ですが、地域で精神障害者が暮らすシステムは遅れており、偏見も強い地域である。私たちは倉敷地域自立支援協議会の「精神部会」の中で、「今後5年間で実現可能な課題」として「地域移行」を挙げ、成果を具現化する作業部会「地域移行連絡会」を発足した。市内4精神科病院と相談支援事業所、当事者活動をするNPO、行政、保健所が定期的に集まり、課題を共有し、具体化するものであった。
 倉敷市には私たち岡山マインド「こころ」以外にも、当事者活動をするNPO法人があり、市内3精神科病院との定期的な交流会を始めていた。私たちが音楽交流会(隔週、83回目)をしている全閉鎖の病院では、看護部長さんが「マインドさんが来てくれて、患者さんと職員の意識が『できるんだ!』に変わる。長期入院されている人たちがそろそろ動き始めようとされている。このように精神病院の中に外で暮らす当事者からの風を入れ、長期入院者の退院へのモチベーションを高めている。

 私たちは地域に「土着」し、すでに町内の各所に普通のアパートや一軒家にグループホームを展開している。そして長期入院者が暮らしのスキルを取り戻すための「精神障害者小規模作業所」(倉敷市はまだこの制度を維持しています)も運営し、その有効性を確認している。このグループホームと小規模作業所をセットにしたものを「くらしきモデル」として倉敷市内各地域5カ所に整備する計画、ここに私たちが蓄積したノウハウ・システムを投入し、これを精神部会の「今後5年間で実現可能な課題」として位置付け、順次整備していく予定である。
 
 そしてもう一つ、私たちは「くらしき物語」というプログラムの実現に向けて準備を開始している。私たちは「地ビール醸造・販売事業」を起業しましたが(令和5年3月末に一旦休止)、この地ビールの原料は国外からの輸入品です。倉敷には岡山大学資源植物科学研究所という、日本の大麦の最先端研究施設があり、そこの佐藤和広教授(センター長)が「はるな二条HKI」という非常に優れたビール麦の新種を開発されている。
 岡山大学資源植物科学研究所は、その前身が1814(大正3)年創設の「大原奨農会農業研究所」で、大原美術館で有名な大原孫三郎氏が立ち上げた倉敷の100年の歴史を継ぐ施設。そこで生まれた大麦を栽培し、製麦し、本物の地ビールを醸造して地域ブランド化(倉敷ビール、大原奨農会ビール、岡大ビールなど)するプログラムである。「産学協働」「地産池消」「6次産業化」など全てを兼ね備えた「くらしき物語」の地ビールづくりの一翼を、精神障害を抱えた者たちが担うこと。市内の障害者施設の仕事づくりにも広がりを求めながら「みんなでやろうよ!」の世界を創り上げるものである。
 私たちはこの「くらしきモデル」と「くらしき物語」の二本立てで、誰もが暮らしやすい「地域づくり」を目指している。

また、令和6年9月から倉敷市独自の「ピアサポート事業」が始まる予定で、精神障害当事者が経験専門家として他の専門職や一般市民と協働して重層的支援体制を担うまちづくりプロジェクトが始まる。20年前から精神病院を廃止したイタリアで、特に地域精神保健が上手く機能しているトレント市の「ファーレ・アッシエーメ!(みんなでやろう)」と交流しながら、新たな試行が始まります。

今後の活動の方向性・ビジョン

 今後の活動の方向性・ビジョンは、「当事者主体」をより大切に、医療保健福祉領域以外の人々との交流、広がりを求めたいと考えます。当事者が専門職と協働しうることが実証される中で、次に目指す方向性は、地域の中でより広がりを目指す他分野との協働です。

 中・長期的ビジョンを定款上の主だった事業ごとに記します。

①:心の「病」をかかえた当事者・家族・市民への相談事業(テーブルまび等の運営)
 現在、14年目を迎えるテーブルまび(かつては真備地域自立支援協議会)ですが、未だに毎月、新しい参加者を迎えながら新鮮さを失わない場として運営されています。なおかつ、精神障害当事者が中心のこの会は、障害福祉分野と高齢者福祉分野をつなげた「テーブルまびみたいなもの(真備地区関係機関・事業所等連絡会)」を平成25年度に生み出しました。こちらも毎月開催されています。
 今後は、倉敷市内の各小地域に、同様な地域の実情に応じた小地域自立支援協議会の発足を期待しながら、地域包括の動きの中に障害福祉分野がキチンと位置づけられるよう、その先駆事例としてあり続けることが期待されます。真備町の中では、高齢になった障害者の行き場がないようなことにならぬよう、高齢分野との早期の相互理解を重ね、「誰でも安心して老いてゆけるまちづくりを行います。

②:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律による障害福祉サービス、並びに地域生活支援事業に係る事業(グループホーム、小規模作業所、「地域移行」)
■その1:グループホーム事業
 現在、町内に本体住居2か所(定員6名と3名)、サテライト(1名)2か所、アパートに21名の総計23室を運営しています。市内の全閉鎖の精神科病院に長期入院されている方々の「地域移行」と、町内の孤立した生活困窮状態の方の住居を重点的に支援する形で運用していますが、まだまだニーズに追いついておらず、新たな居室の確保が近々の課題です。
 今後もグループホームの増設を逐次進め、「地域移行」(以下に記す「小規模作業所」とセットに整備する「くらしきモデル」の整備を目指して)安心して自己実現できる暮らしの場を整備します。
 ちなみに「くらしきモデル」は、倉敷市内5地区にグループホームと小規模作業所をセットにして整備し、地域に開かれた運営のもと、地域啓発・当事者活動の拠点となるよう運営される地域モデルです。
■その2:精神障害者小規模作業所(地域活動支援センターⅢ型)運営事業
 昨年度から新規に事業開始できたこの制度は、中核市の倉敷市の英断で、新たな開設をすることができました。多くの市町村ではすでに廃止されたこの制度は、B型に強制的に移行され失った「サロン」「居場所」「仲間づくり」を保障し、長期入院者の「地域移行」には必須の制度です。
 マインドでは、全ての当事者活動をこの作業所活動として集約し、「当事者が運営する小規模作業所」として運営しています。スタッフも当事者スタッフと二人体制、全ての決定は毎週行われる「作業所当事者会」を経て行われ、作業として「当事者による講演・啓発活動」や「精神科病院との音楽交流会」「各種会議への参加」等も位置づけ、工賃を支払う体制を整えています。
 今後のビジョンは、前述した「くらしきモデル」の一翼として、倉敷市内各所に整備していく予定です。
■その3:「地域移行」
 マインド作業所の事業として、「地域移行」への意欲促進のための7に、長期入院者へのアプロー チをおこなっています。閉鎖病棟の中での音楽交流会や病院行事への参加など、多岐にわたりま  す。

③:地ビール醸造・販売、並びに小売酒販、飲食業等、障害者支援に係る事業
 障害者総合支援法による補助金事業にのらず、独自事業として12年間運営しました。醸造免許も期限付き免許から本免許を取得することができ、平成25年度から黒字化も達成しました。最盛期は年間醸造量が12000リットルを超え、地元の皆さんに周知いただけた存在になりました。
 当事者が5名就労し、最低賃金をクリアし、醸造から販売、配達からビアホールのスタッフまで当事者が行いましたが、一旦やり直しにかかります。
 今後のビジョンは、「くらしき物語」と称したプロジェクトにつながります。「くらしき物語」とは、ビールの原料となるビール用大麦を地元倉敷産でまかない、本物の地産池消の地ビール作りを行う中で、障害者がその一翼をキチンと担う、「他職種連携」のまちづくり、ものづくりプロジェクトです。
 倉敷市には岡山大学資源植物科学研究所という、日本の大麦の最先端研究施設があります。この施設は大原美術館で有名な大原孫三郎氏が創設した「大原奨農会」が前身で、「はるな二条HKI」という非常に優秀なビール大麦を開発されています。センター長の佐藤和宏教授の指導のもと、この大麦を倉敷で栽培し、収穫した大麦を麦芽にすることでビールの原料として利用可能となる。その麦芽にする製麦プラントを整備し、本当の「地産池消」「6次産業化」「地域ブランド」の創出(大原奨農会ビール、岡山大学ビール等)を目指す。その製麦プラントの整備から醸造・販売までを一貫して精神障害者が担い、他職種と連携・交流する新たな世界を創り上げること、これが「くらしき物語」です。

今後は倉敷市独自の「ピアサポート事業」が令和6年9月から開始するので、イタリア・トレント市と交流しながらその活動を育てていく予定である。

定期刊行物

 毎月発行している「マインド通信」があります。現在、195号となっております。一ヶ月間の活動の報告と、この先一ヶ月間の活動予定、定例会、理事会等の議事録の他、当事者メンバーの人達の投稿など、A4・8ページ、写真入りで発行しています。現在、発行部数は180通です。
 「マインド通信」は、正会員、賛助会員のみならず、「マインド基金」に出資してくださっている方々や、市内の行政機関(障がい福祉課、保健所、支所の保健推進室、公民館等)、県の保健所や精神保健福祉センター、市社会福祉協議会、市内の福祉事業所、真備町内の高齢者事業所等、各種マスコミ(新聞社、テレビ放送局など)にも送られており、マインドの活動を広く発信しています。

団体の備考

 私たちはマインドの新規事業を支援する「マインド基金」を設立していました。この基金は、NPO法人岡山マインド「こころ」の新たな事業を支援することを目的に、法人とは別の任意の基金として設立しています。知り合いからお金を支援していただくシステムですが、総額、780万円もの「志」金を寄せていただきました。定款を持ち、毎年「マインド基金」総会も開催し、基金運用委員会の管理のもと適正に運用されてきました。
 マインドの事業もほぼ軌道にのってまいりましたし、このマインド基金への返済の目途もたってきましたので、マインド基金も解散しました。
 将来的には、再度匿名組合とし、あまた多くの方からの出資を可能とし、地域貢献基金として地域後見をしうる組織をつくり、「くらしきモデル」を支える仕組みにしていく予定です。
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協働実績

助成金・補助金・物品等、他の組織から受けた支援の実績

■平成16年:社会貢献福祉基金「サン基金」助成金:40万円
         ・「新井英一ライヴ・イン真備」運営費とエアコン購入費 
■平成17年:赤い羽根共同募金:25万円
         ・「新井英一ライヴ・イン真備VOL.2」運営費
■平成18年:赤い羽根共同募金:25万円
         ・「べてるの家・イン真備」運営費
       福祉・医療機構助成金:200万円
         ・軽自動車、ユニットハウス、備品購入費
■平成19年:倉敷市市民活動推進課:50万円
         ・市民企画提案事業「テーブルまびに向けて」
■平成20年:赤い羽根共同募金:50万円
         ・「テーブルまびに向けて」冊子制作費
       倉敷市市民活動推進課:5万円
         ・市民企画提案事業(継続)「テーブルまびに向けて」
■平成21年:倉敷市障害福祉課(補助金):5万円
         ・「テーブルまび(小地域自立支援協議会・真備版)運営費
■平成22年:倉敷市障害福祉課(補助金):2万4千円
         ・「テーブルまび(小地域自立支援協議会・真備版)」運営費
       倉敷市人権啓発活動費補助金:50万円
         ・第三回「ボチボチまつり」運営費
       第七回リリー賞:100万円
       サン基金:カラーレーザープリンター
       丸紅基金:200万円(地ビール醸造プラント購入費)
■平成23年:倉敷市人権啓発活動費補助金:50万円
         ・第四回「ボチボチまつり」運営費
       倉敷市障害福祉課(補助金):2万4千円
         ・「テーブルまび(小地域自立支援協議会・真備版)」運営費
■平成24年:わかば基金:93万円
         ・地ビール配達用三輪原付二台購入費
       倉敷市人権啓発活動費補助金:34万円
         ・第五回「ボチボチまつり」運営費
       倉敷市障害福祉課(補助金):2万4千円
         ・「テーブルまび(小地域自立支援協議会・真備版)」運営費
■平成25年:年賀寄付金配分:200万円
         ・瓶詰機購入費
       倉敷市人権啓発活動費補助金:50万円
         ・第六回「ボチボチまつり」運営費
       倉敷市障害福祉課(補助金):2万4千円
         ・「テーブルまび(小地域自立支援協議会・真備版)」運営費
■平成26年:中央競馬馬主社会福祉財団助成金:49万円
         ・グループホームのオール電化工事費
       倉敷市障害福祉課(補助金):2万4千円
         ・「テーブルまび(小地域自立支援協議会・真備版)」運営費
■平成28年:日本財団「地ビールを活用した障害者就労モデル構築(地域活動支援センターⅢ 
       型)」
         ・製麦プラントを備えたマインド作業所の新築整備:45,200,000円
■平成30年:AAR JAPAN(難民を助ける会)
         ・作業所再整備備品購入費:1,476,764円
      :Civic Force:西日本豪雨災害支援金
         ・音響機材購入費・地ビールと音楽の夕べ費用等:2,000,000円
      :第4次ももたろう基金(みんなでつくる財団おかやま)
         ・お互いさまセンター運営費:2,855,360円
      :ゆめ風基金
         ・グループホーム(マインドホーム2)新築費助成:5,000,000円
■令和元年:日本財団
         ・作業所修繕費助成:34,930,000円

■令和2年:AAR・JAPAN:グループホーム新築費助成
         ・グループホーム(マインドホーム2)新築費助成:5,000,000円
     :JCB(西日本豪雨災害支援)
         ・グループホーム(マインドホーム2)新築費助成:5,000,000円
     :NHK厚生文化事業団
         ・グループホーム(マインドホーム2)新築費助成:2,000,000円
     :橋本財団:西日本豪雨で被災した精神障害者グループホーム再建事業
         ・グループホーム(マインドホーム2)新築費助成:3,000,000円
     :三井住友銀行ボランティア基金
         ・真備産大麦の製麦費用(外注):1,000,000円
■令和5年度:日本財団
         ・福祉避難所の機器整備事業:4,080,000円

他のNPO・市民活動団体との協働、他の学協会との共同研究・協働の実績

■他のNPO法人、市民活動団体との協働
 同じ町内にあります「NPO法人いちご一会」と行事や活動を共にすることが多いです。「NPO法人いちご一会」は、知的障害を抱えた子を持つ親御さんたちが立ち上げられ、町内に子供からお年寄りまで誰でも集える交流サロン「いちご家」の運営をされていましたが、現在は就労継続支援B型の事業所を運営されています。「テーブルまび」にも参加され、マインドの当事者の人達もよく「いちごの家」へ行き、一緒に活動されています。
 
 「NPO法人岡山NPOセンター」さんとは、昔からお世話になっており、NPO法人の運営に関して支援をいただきました。現在も会計ソフトへの入力を「岡山NPOセンター」に委託しており、また、「岡山NPOセンター」が主催する各種企画・行事への参加や協働を行っています。
 
■他の学協会との協働
①:教育機関との協働
 「テーブルまび」には関西国際大学の研究者の方が参加されたり、川崎医療福祉大学の准教授、助手、学生の方々が大勢参加されています。特に地元の川崎医療福祉大学とは、さまざまな連携を行っています。実習生の受け入れはもちろん、マインドが実施するさまざまな事業・イベント、会議、企画等に学生さんが体験参加し、ボランティア体験をし、自己覚知した当事者と触れ合う機会を得ています。
 また、県・市教育委員会とは、精神障害への理解・啓発・交流を目的に、私たちを講師としてお招きいただいて講演会を開いて下さったり、地元の中学校と共催して「ボチボチまつり」を開催したり、岡山市の京山中学校の「心の病気を学ぶ授業」に参加したりと、活発な交流を行っています。

②:岡山県商工会、倉敷市商工会、真備・船穂商工会との協働
 商工会主催のさまざまな行事(くらしきフェア、商工会まつり等)に出店参加し、地元の特産品として集客に貢献しています。

企業・団体との協働・共同研究の実績

■岡山市にあります吉備土手下麦酒醸造所さんのご厚情により、地ビールの醸造設備の整備、醸造技術の習得、醸造免許申請のアドバイス等、全面的支援をいただき、無事、醸造を開始、継続しています。 今後は地産池消、6次産業化を視野に、地元産の原料から地ビールをつくるプロジェクト「くらしき物語」を進めています。
 岡山大学資源植物科学研究所の佐藤和宏センター長が開発された、倉敷発祥のビール大麦を使い、大麦の生産から指導を受け、製麦プラントの整備を行い、オリジナルブランド(倉敷ビール、大原奨農会ビール、岡山大学ビール)の開発、販売までを産・官・学・障が協働して行う、新たな試行です。これは、現在進行中です。

行政との協働(委託事業など)の実績

■倉敷市市民活動推進課、障がい福祉課、倉敷市保健所との協働
  平成19年度、20年度の二年間、「くらしき市民企画提案事業」に応募し、「テーブルまび(地域自立支援協議会・真備版)に向けて」と題し、障がい福祉課と倉敷市保健所を担当課として協働いたしました。
 「テーブルまびに向けて」の二年間を経て、平成21年度からは正式にオフィシャルな小地域自立支援協議会として「テーブルまび」が発足し、障がい福祉課から運営委託を受け、現在に至っています。「テーブルまび」には、毎回、障がい福祉課の担当者、倉敷市保健所の担当者、障がい者支援センターの担当者の方々も参加されています。
 「テーブルまび」は毎月の集まりの他、「ボチボチまつり」という啓発・交流事業も行ってきました。平成20年度は、地元の中学校吹奏楽部の人達と、音楽を通じて交流する「ボチボチまつり」を開催しました。そして平成21年度の「第二回ボチボチまつり」では、倉敷市保健所の「こころの健康づくり講座」と共催で、精神科医の講演と、当事者からの発信を行ないました。平成22年度の「第三回ボチボチまつり」では、地元中学校の生徒さん70名と一緒に啓発・交流イベントを開催しました。平成23年度はイタリア映画「人生、ここにあり!」の上映と当事者発信を、平成24年度は「観察映画「精神」を観る会」として開催。昨年度は、「第10回記念くらしきフォーラム」の記念コンサート 沢知恵コンサート」と共催して、ボチボチまつりも6回目を迎えました。