事業成果物名

2010年度 「漂着ごみ」の油化に関する調査及びモデル地区の設立

団体名

事業成果物概要

海岸に漂着する大量のごみは、美観を損ねるばかりか、生態系まで破壊するような影響を与えること等から、長年にわたり問題視されてきた。海岸漂着ごみのうち、容積率で約40%を占めると言われる発泡スチロール類は、油化装置によってスチレンを主成分とするエネルギーに変換することが可能である。スチレンはガソリンなどと同じ引火性の液体で、ディーゼル機関、ボイラー、焼却炉等の燃料として利用することができる。
本調査研究は、こうした離島の海岸漂着ごみ問題に関して、回収した海岸漂着ごみを油化装置によってスチレンに変換し、これを島内でエネルギーとして有効活用することにより、離島の海岸の美化及び島内の省エネの促進といったエネルギー問題を解決しようとするものである。
平成21年度及び22年度において、「宝の島プロジェクト」と呼称し、沖縄県竹富町の鳩間島をモデル地区として、島内に設置した屋内固定式の油化装置を用いて、漂着ごみ処理に係る一般市民主導・参加型の社会実験を実施した。

この社会実験の結果、海岸漂着ごみの新たな処理システムが、離島における海岸の美化や島内の省エネに貢献するばかりか、ごみ由来のエネルギーを利用した起業を通じ、過疎化・高齢化など離島が抱える社会問題の解決にも寄与する等様々な面で効果をもたらすことが実証された。
本システムが海岸漂着ごみ問題やエネルギー問題、過疎化や高齢化などに悩む全国の離島に広まり、いずれも採算性を伴う実稼動や地域の活性化につながることが期待できるものと考えている。
なお、平成23年度からは、利便性や機動性を向上させた移動式の小型軽量油化装置を車両に搭載し、全国各地の離島の海岸を巡回する広域的な社会実験を予定しており、全国の離島海岸のさらなる美化及び島内省エネの促進、さらには“離島振興”にもつながる社会貢献を目指している。
なお、海岸に漂着する硬化プラスチック製の漁具やナイロン製の魚網など、発泡スチロール以外のプラスチック系の漂着ごみの油化について、神奈川県・産業技術センターと共同で調査研究を進めたところ、本調査研究で用いた油化装置は、下処理をすることにより、油化の可能性が高いことが認められている。

助成機関

事業成果物種類

報告書

事業成果物

事業成果物名

「漂着ごみ」の油化に関する調査及びモデル地区の設立報告書

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