事業成果物名 |
フィリピンの船舶安全基準および内航船需要に関する調査
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団体名 |
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事業成果物概要 |
【はじめに】
フィリピンは、経済・社会活動の基盤として船舶が必要不可欠な輸送手段であるが、毎年のように重大な海難事故が発生し尊い命が失われている。1987年12月に沈没・衝突した貨客船「ドニャ・パス号」の事故による死者は4,300人を超えると言われており、史上最も大きな犠牲を出した海難事故である。その後もこのような事故は頻発しており、近年では2008年6月にフェリー「プリンセス・オブ・ザ・スターズ」がマニラからセブに航行中、台風に会い沈没し、1,000人以上の犠牲者を出したのは記憶に新しいところである。 さらに、2009年12月にはバタンガス沖で貨客船「バレノ9」が浸水により沈没、50人余りの犠牲者を出した。この事故は、通常の気象条件下で起きたものであり、船の安全性向上を求める声が一層強くなった。当該船舶は日本から輸入したばかりの船であったが元来平水区域を航行する船として設計されたものを沿海区域以上の区域で運航させていたことと建造後40年近くの老齢船であったことが特に問題となった。 この事故を受けて、フィリピンでは船舶の安全規制が強化されつつあり、老齢船の輸入禁止、輸入船の航行区域の確認強化に加えて、内航船舶の安全基準の大幅な見直しを行っている。また、フィリピンの中・大型貨客船の平均船齢は30~35年といわれているように老齢中古船に依存した船主が多いが、海運会社の中にも中古船の運航が不経済であり、かつ安全上も問題があることを認識し、新造船建造に向けた検討を開始したところが出てきている。加えて、日本のODAによるフィリピン開発銀行(DBP)を通じた円借款プロジェクトが開始されつつあり、内航船代替の動きが活発化することも十分考えられる。 このような状況の下、新造船の設計にも影響を与えるフィリピンの船舶安全に関する基準を調査するとともに、安全規制官庁である海事産業庁の活動状況等を取りまとめた。 本報告書が、フィリピンの船舶安全規制の状況を知る基礎資料として利用いただければ幸いである。 ジェトロ・シンガポールセンター船舶部 (社団法人日本中小型造船工業会共同事務所) ディレクター 矢頭 康彦 【目次】 第1章 フィリピンの概要 第2章 フィリピン内航海運の現況 第3章 船舶安全確保のための体制と業務実績 第4章 フィリピンにおける海上安全に関する法律・規則及び安全確保に向けた取組み 第5章 まとめ 付録 2010年2月12日に大統領により署名されたコースト・ガード法 同仮訳 |
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