事業成果物名

ABC-net ウェブサイト

団体名

事業成果物概要

▼団体名
「ABC-net」(シティライツ)

▼NPOの概要
(NPOから提出された申請文をそのまま転載したものです。):
私たちは「映画を一般の人と一緒に楽しみたい」という視覚障害者の要望を受け映画の視覚的な情報(場面転換、人物の動き、情景など)を、言葉で解説するナレーション(音声ガイド)をラジオで聞きながら共に鑑賞できるバリアフリー上映の輪を広げてきました。しかし、まだいくつかの限られた地域でしか実現していません。

バリアフリ-上映にチャレンジしてみたいと問い合わせをいただく自治体、施設、団体等も増えてきましたが、一から音声ガイドをつくり上映会を開催するのでは、予算的にも技術的にもハードルが高く、開催することができないという地域が多いです。

その反面、これまで各所で制作されてきた音声ガイド、またそれぞれが築き上げてきたノウハウは、共有されることもなく、非常にもったいない状況があります。音声ガイド制作や上映経験のある全国各地のNPOやボランティアグループ、またバリアフリー上映コンテンツを所有する企業等が参加し、コンテンツ、ノウハウ、情報の共有化をはかり、バリアフリー上映希望者の相談窓口としての役割も果たすような、サポートネットワークづくりが必要と考えました。

具体的には、

・音声ガイドの録音化とライブラリー化。
(ネットワーク内で、すでに制作してある音声ガイドから、録音・編集処理を行って共通のフォーマットで共有化し、上映希望者に貸出したり、施設等に提供できるようにします。)

・音声ガイドの録音・編集技術、上映時の同期オペレーションの講習会を開催します。

・音声ガイド制作に必要な録音キット、音声ガイド付き上映に使用する機材(FM送信機やDJプレイヤー)等を、必要な地域・グループに配布・貸出いたします。(場合によってはスタッフの派遣も検討。)

▼事務所所在地: 上中里(JR京浜東北線/東京都北区)

▼URL:
http://www.ne.jp/asahi/city/lights/ABCNET/

▼提供するサービスグラントの内容:

WEBサイト・サービスグラント
(WEBサイトのリニューアル)

▼サービスグラント事務局からのコメント:
NPO審査担当:嵯峨

目が不自由な人に映画!?
映像が見えない人に、映像を見せるということに、果たしてどんな意味や効果があるのだろう・・・?

そんな疑問を抱く人もいらっしゃるかもしれません。

それに、映画は趣味のもので、同じバリアフリーと言っても、公共施設のバリアフリー化のような差し迫った必要性はないのでは?

そんな感想を持たれることもあるかもしれません。

第一の疑問に対しては、「音声ガイド」という手法を活用することで、視覚障碍のある人も、かなりの度合いで映画をはじめとする映像作品を楽しむことができる、ということが実践を通じて分かってきています。

このシティライツという団体は、ボランティアが映写室に入り、映画の情景を描写するアナウンスを入れた音声ガイドを読み上げ、それを映画館内で低出力のFMラジオ電波を使用して、視覚障碍者たちに伝えるという、「バリアフリー上映会」を開催している団体です。2001年に活動を始めてからすでに8年が経過し、実績も着実に蓄積しています。

第二の疑問に対しては、必要か必要でないか、でいえば、確かに、駅や道路、建築物などのバリアフリー化のようなことと比較すれば、プライオリティは下がるかもしれません。かといって、必要ない、ということにはなりません。

当初は「視覚障碍者にも映画を楽しんでもらいたい」という、素朴な思いから、映画鑑賞のお手伝いをするボランティア団体、として出発したシティライツですが、その活動は進化(深化)し、2006年には、「すべての映像メディアに音声ガイドを」というメッセージを掲げて「シネマアクセスパートナーズ(CAP)」という事業型NPOの設立へとつながりました。

CAPは、設立のタイミングとほぼ同時に「武士の一分」(キムタク主演の時代劇映画)などの音声ガイドを受託する幸運を得るなど、法人化を契機に、今では数多くの映画の音声ガイドを手掛け、しだいに、映画に音声ガイドを付けることがスタンダードになりつつあるという潮流を生み出しています。

※このCAPのWEBサイトも、実は、サービスグラントの初期のころのチームが手掛けたのでした。
http://www.npo-cap.jp/


一方、バリアフリー上映の輪も、日本各地にも広がりを見せつつあります。

すでに、地域によっては、自治体や市民団体などが主催して、映画のバリアフリー上映イベントの取り組みを始めています。

シティライツでは、こうしたバリアフリー上映の流れを、限られたグループや地域だけにとどまるものではなく、日本全国へと広めていくことをバックアップできるプラットフォームづくりに乗り出しました。それが、「ABC-net」すなわち、All-Japan
Barriar-free Cinema Network(全日本バリアフリー上映ネットワーク)というものです。

この、ABC-netでは、全国各地で草の根で活動する、バリアフリー上映に取り組む市民グループ・サークルをネットワークし、それぞれのグループが作ってきた音声ガイドの台本や、各グループが保有する上映機材や音声ガイド用の機器などをデータベース化して一元的に共有し、これからバリアフリー上映を実施しようとする他の地域の行政や市民団体・グループへと貸し出したり、ノウハウを共有できるための基盤を構築しよう、という試みです。

さて、この試み、果たしてどれぐらいの規模感のものでしょうか?

バリアフリー上映をすでに行っている行政、施設、団体は全国で100以上に上っており、音声ガイドを制作しているボランティア団体は全国20団体ほどあるそうです。この数は現在でも増える傾向にあり、音声ガイドやバリアフリー上映の輪は、少しずつ広がっているのです。

とはいえ、全国には3,000を超す自治体がありますから、比率でいえば、まだ数%ということでしょうか。まだまだ広がる余地はありそうです。

バリアフリー上映の輪が広がっていくのはいいことですが、地域ごとで草の根的に行われている活動がお互いにつながっていくことで、効果は一層高まることが予想されます。

別々の地域で、同じ映像作品のガイドを作成してしまう、といった無駄をなくしていけば、1本でもより多くの映像作品に音声ガイドを作成することができます。新品の機材を購入しなくても身近に借りられるところが分かれば、機材調達の費用や手間がネックでバリアフリー上映を始められないという人の背中を押してあげることもできるでしょう。

映画をはじめとする映像メディアにおいても、音声ガイドが実装され、バリアフリー化されていくことが当たり前である、という社会の機運づくりをバックアップしていく。

こうしたミッションのもと、「ABC-net」のウェブサイトを制作しました。

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