事業成果物名

2011年度 「漂着ごみ」の油化に関する調査及びモデル地区の設立

団体名

事業成果物概要

1)検証型社会実験
本年度、沖縄県西表島、鹿児島県奄美大島、島根県西ノ島の合計3箇所において検証型社会実験を実施した。検証型社会実験では、初期社会実験より、あらかじめ設定したテーマに則り当該離島における油化システムの有効性について検証し、公開実験において、初期社会実験の成果を一般に公開した。また、再度検証が必要と思われる離島においては、適宜、二次社会実験を行った。
○西表島検証型社会実験
西表島検証型社会実験では、主に、竹富町海洋基本計画の実施項目と関連のあるテーマを設定し社会実験を行った。具体的には、漂着発泡スチロールを鳩間島まで運搬し処理する場合の有効な輸送手段となりうる発泡スチロールの曳航実験等についての検証や、固定式油化装置と移動式油化装置の使い分け、離島同士の相互扶助関係樹立の実験等を行った。
これらの実験により、鳩間島で西表島の漂着ごみを処理し、固定式油化装置と移動式油化装置の効果的な使い分けをすることによって八重山圏域全体で漂着発泡スチロールを効果的に処理することが可能であると判明した。
また、西表島から鳩間島までの発泡スチロールの効率的な運搬方法について洋上曳航実験を行った。調整の余地は残るものの、実践につながりうる手段であることが判明した。
上記の検証の成果を一般に公開するべく公開実験を開催し、地元住民のほか、沖縄本島及び八重山諸島のマスコミ各社、竹富町職員など総勢45名の参加者があった。
○奄美大島検証型社会実験
奄美大島検証型社会実験では、主に、本事業が推奨する漂着ごみの油化処理システムのフローの一部を福祉事業が担う、新たな油化処理システムについての実験を実施した。
具体的には、福祉施設利用者に向けた説明会の開催や、発泡スチロールの下処理体験などを通じて、本事業に対する福祉分野の参画の効果を検証した。
さらに、奄美大島と竹富町は類似した環境下にあり、共通の海洋問題を抱える。この二つの離島が情報交換や場合によっては連携して海洋施策を行なっていく契機となることを目的とし、奄美大島の社会実験に竹富町の職員を招聘するなどの交流を図った。
上記の成果を一般に公開するべく公開実験を開催し、竹富町職員のほか、地元住民、奄美大島のマスコミ各社、奄美大島5市町村の議員・職員ら約200名の参加者があった。
○西ノ島検証型社会実験
西ノ島検証型社会実験では、西ノ島町が保有する発泡スチロールの油化や、生成油を用いた島内産業の省エネ実験などを行った。具体的には、西ノ島町が焼却処分できず、ストックしていた汚損度の高い大型のフロートを油化し、漂着ごみの油化の有効性を示すとともに、本事業で作成したスチレン油の新たな使い道として、廃食油と半分ずつ混合した混合油で発電機を稼動し、島内の観光宿泊施設が保有する燻製器の電源として試用した。
上記の成果を一般に公開するべく公開実験を開催し、地元住民のほか、島根県のマスコミ、隠岐郡自治体職員など総勢50名の参加者があった。
2)イベント型社会実験
イベント型社会実験では、主に本事業の周知・宣伝活動を目的としており、油化デモンストレーションや、精製油一般向けの公開実験を開催が主な内容である。集客力を向上させるため、現地の既存のイベントと合同で開催するなど、知名度向上に努めた。
平成23年度、鹿児島県喜界島、長崎県福江島、熊本県天草市、沖縄県石垣島の合計4箇所でイベント型社会実験を開催し、延べ550名程度の参加者を集めた。
3)他の漂着ごみの油化に関する調査
本事業で使用している油化装置は、いわゆる“蒸留方式”を採用している。そのため、下処理等の条件さえ整えば、硬化プラスチック製の漁具やナイロン製の魚網など、発泡スチロール以外のプラスチック系の漂着ごみも油化できる可能性がある。
そこで、神奈川県・産業技術センターと共同で、海岸に漂着する他のプラスチックごみを対象に、油化に関する調査を進めた。その結果、発泡スチロールにプラスチック(pp)を5%程度混入し油化できることが科学的に証明された。

助成機関

事業成果物種類

報告書

事業成果物

事業成果物名

平成23年度「漂着ごみ」の油化に関する広域社会実験事業報告書

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