事業成果物名

2015年度 福祉車両助成 高齢者の転倒防止には

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事業成果物概要

高齢者の転倒防止には

介護を必要とするのは転倒からが多い。

高齢者の方が、介護を必要とするようになるのは、 実は転倒してからが多いという。一度転倒して怪我すると、 回復しても転倒恐怖症に陥り、 日常生活 (ADL:activities of daily living)が制限され、 生活の質(QOL:quality of  life)の低下につながり、 行動が委縮したものとなり、体力の衰えに拍車をかける結果になる ケースが多い。
 転倒すると大腿骨頸部骨折になる確率が高く、 大腿骨頸部骨折の90%以上が転倒によって発生するといわれている。
高齢者の転倒の頻度は高く、外国の報告では65歳以上の30%-45%以上、 日本の場合ではやや低く10-25%程度が、 1年以内に転倒を経験している。(辻岡三南子)

介護支援と転倒事例
当方は、医療保険による寝たきりの方のための訪問マッサージ事業と 介護保険による居宅介護支援事業(ケアマネージャーによるケアプラン作り) を主に、福祉・介護の仕事をしているが、 今までに3件の転倒事例が発生している。
一件は、玄関を出て、門までの距離の間で転倒していて、 血を流し動けなくなっていたケースで、当方のマッサージ師が訪問時に発見し 救急車を手配した。
2件目は、玄関の内側の土間にて転倒し携帯電話で当方のケアマネージャーに 援助を求めてきたケース。
3件目は、屋内の廊下で足を滑らせ転倒したケースであった。連絡を受け救急車を 手配した。
いずれも、大腿骨脛部骨折で、その場から救急車にて入院するという 事態となり、その後自宅での介護も難しいと判断され、病院退院後、 施設に入所する事態となっている。
一般的にも大腿骨頸部骨折は高齢者に多く、ほぼ全例に入院、 手術が必要であり手術施行1年後に介助なしで外出可能な例は約30% に過ぎず、寝たきりを含めた障害を残しやすいことが問題である。その結果
介護を含めて家族に対する負担が大きく、国の財政面でも高齢化に伴う 介護費用、医療費の増大が懸念されるである。

転倒防止の対策の一つとして

高齢者の転倒防止には太極拳がよい。
高齢者の転倒を防止するためには、高齢者の体力作りがまず大切になってくる。
筋力の衰えと、特に下半身の筋力をいかに付けていくか ということである。小生の経験でも、足の爪先が上がらない とわずかな突起につまずき転倒してしまう。室内でもその危険はあり、廊下との 段差などもつまずきの原因となりやすい。
足の爪先をしっかり上げるには、下肢の筋力を強くすることが必要だが その為の方策として、太極拳が挙げられる。

"骨粗症の予防と治療のガイドライン2006年版"では太極拳が 転倒予防に効果があると認められている。
太極拳の動作はゆっくりとした動作に加えて、呼吸、精神統一が 重要であり、運動としての身体への効果に加えて、精神に対する 効果もあることからストレス、最新疾患の予防、治療にも利用されている。
動作は柔らかく、円をかくように途切れることなくゆったりと動く。 基本的には重心は低めであり腰をやや曲げた姿勢をとることが多い。 この姿勢が下肢の筋力強化に適している。
この動作は、緩やかに行うので高齢者でも行いやすく、 また心臓疾患の患者にも応用されるという。又費用も安く、 一人でも、自宅でもおこなえるところが好ましいところである。

高齢者のバランス機能と太極拳
太極拳の健康効果はやはり筋力向上にある。九州大学病院リハビリテーション部 の高杉真一郎講師によると、"太極拳は太ももの四頭筋と、 脛にある前けい骨筋という筋肉をよく使う。この筋肉は、 つまずきそうになって足を踏ん張るとき活躍する"のだという。
そして重要なのはバランス機能である。転倒の危険因子の主要なもの として、筋力低下、転倒の既往、歩行能力の低下、 バランス障害などがある。バランス機能は中高年では年齢と共に衰え、 転倒のリスクを増加させる。
バランスを保つのは、視覚などの知覚、筋肉の協調性などの 要素が複雑に影響している。

高齢者でも太極拳は出来る。
 太極拳では、ゆっくりした動作で常に体重移動が行われ、 身体の反転、片足立ち、足関節の背屈などの様々な動作を含んでいる。 この動作を繰り返し行うことにより、関節の微妙な動きや、 筋肉の協調運動などが容易に行われるようになり、 バランス機能改善に役立つのである。太極拳では、関節の位置や 角度などに注意をはらう必要があるため、固有感覚が訓練される。
足関節は姿勢を保つために特に重要であり、高齢者のバランス機能 及び転倒防止に効果がある。
 太極拳は高齢者でも取り組むことができるということである。 茨城県立中央病院の雨富隆太・県地域がんセンター長は"年をとっても若い人と 対等に出来るのが魅力。肺活量の維持も期待できます。"と話す。
回数は週一のベースで3ケ月は続けるべきである。 もっとも基本形を覚えるのに3ケ月はかかるが。(笑)
太極拳の効用はいろいろ有るが、高齢者の転倒防止に的を絞って、 実践することだと思う。1人でも出来るが、出来れば大勢の中に入って 実践することが望ましい。
継続は力である。大勢の中の方が継続しやすい。 大勢の人の同一動作は綺麗なもので、それに合わせて動けると、それにも感動する。

<データ>
朝日新聞 2004年9月21日  "太極拳の健康効果を調べました。"
慶應義塾大学保健管理センター 辻岡三南子 "太極拳の健康効果"
"転倒とバランス機能を中心として"

追記
太極拳を始めるとまず感じることは、こんなゆるやかな、 ゆったりした動作・運動で ほんまに身体に良いものかどうか疑問に思うことである。 しかし、3ケ月も継続すると、内臓が暖かくなるような印象を受ける。 間違いなく、内臓を刺激しているのであろうと思う。内臓を刺激する ことは、乳酸菌から、マクロフアージを作り、 免疫力を強めることをもたらす。免疫力は内臓の機能強化から高められるのであり このことが太極拳をすることの大切なポイントなのだろうと思っている。


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