事業成果物名

2015年度 福祉車両助成 福祉介護の現場 地域社会が排除型社会へ

団体名

事業成果物概要

地域社会が排除型社会へ

ケアマネージャーの活躍
つい最近のことであるが、居宅介護支援を受けている利用者(患者) の方の話である。老夫婦ともに介護保険の適用を受けている家庭で、 妻が認知症であり、夫は足が悪いがまだ意識がはっきりしているので、 妻を夫が介護していた。ある日、その夫が玄関先で転倒し、 大腿骨を骨折する重傷となった。たまたまその場に、ヘルパーが 到着して発見し直ぐケアマネージャーに連絡し、 ご本人が自分で救急車を呼び、ケアマネージャーが、 家族の方に緊急連絡をして 入院先などを知らせ、また、 シュートステイなどの予定を全てキャンセルするなどした。 遠方から急行した家族の方は病院に泊まり込みとなった。 家に妻が一人残ることになった。夫の方は重傷でありながら "私はいいから妻を頼む"といっていた。 ケアマネージャーがその妻を介護施設に一時預けをお願いした。

地域社会の助け合いの喪失。
 問題は、その前後のことである。隣家の主婦の方があちら こちらに電話を入れ、 担当しているケアマネージャーを探し、認知症になっている残された妻を 何とかしろと言ってきたことである。 隣家の人にそのようなことをいう権限があるのだろうか。 また、ケアマネージャーに言うのはお門違いではないだろうか。 どこかへ移せということであるが事故が 起きていることを知りながら、手伝いもせず、応援もせず、 なにもせず隣家の不幸を考慮しない印象である。 親切心からケガをして困っている隣家の方を思いやり関係筋に 手を打つ或いは手を貸すという心使いから出ているとは 感じられないのである。

地域社会の崩壊。
 日本社会は、地域共同社会のきずなというものが なくなってきたのであろうか。 高齢者で怪我をして困っている人々を助けあう風土はなくなって しまったのであろうか。町の自治会による相互扶助とかの風習は 無くなってしまったのであろうか。
 たまたま、その隣家の主婦に、"事故が遭われたところなので隣組として、 同じ町内会として温かいご援助・ご支援をお願いしたいと思います" と申し上げたら、 すごい剣幕で怒り電話を切られたそうである。

日本も排除型社会に突入か。
 これは例外的なことなのかもしれないが、弱者を助けることより 排除することに 心が向かっているからか、自分に災いが来ぬようにすることだけに関心があり、 ”困っている時はお互い様”という心を失っているように感じた。 とても悲しい寂しい風潮であると思う。人々の横の、 人と人との連帯意識がなくなるとこの日本社会は今後どうなって しまうのであろうか。 日本の良さは昔の”村”意識という共同体意識、連帯意識が強く あることではないだろうか。

中産階級から排除型社会になっていくか。
 ジェック・ヤングがいう排除型社会というのが日本に社会現象として 発生してきているのかもしれない。 格差社会の拡大により勝者と敗者間の排除だけでなく、 中産階級間においても弱者排除が出てきて横の連帯が壊れてきている ような感じを受けた。とても悲しい出来事であり,予兆であると思う。

ジェック・ヤング
JOCK YONUNG {1942年~}
イギリスの社会学者 専門は犯罪社会学。現在ケント大学の社会学教授

助成機関

事業成果物種類

報告書

事業成果物

事業成果物名

メディカルゆう

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