事業成果物名

2019年度船舶関係諸基準に関する調査研究事業報告書

団体名

事業成果物概要

1 事業目的及び事業概要
1.1 事業目的

船舶の安全確保及び海洋環境等の保護に関して、船舶に対する適切な諸基準の策定に資するため、船舶の構造、性能及び設備並びに運航等について調査研究を行い、造船技術の向上及び海事産業の発展に寄与する。

1.2 事業概要
調査研究事業の運用に当たっては、基準案等の作成に係る調査研究事業として下記の9プロジェクトを立ち上げ、SG(ステアリンググループ)会議を23回(うち、Web会議4回)、WG(ワーキンググループ)を7回、検討会を11回開催するとともにGHG削減戦略プロジェクトに関連したTF(タスクフォース)を22回開催し、国際海事機関(IMO)への戦略的な対応とプロジェクトの円滑な執行を図った。また、IMOにおける安全・環境規制の策定に戦略的に対応するため、IMOの基準の動向はもとより、これに関連する重要な基準・規格の策定動向、及び海事分野を取り巻く環境の変化を総合的に把握し、国際基準の策定に関する調査研究を実施するとともに、基準及びこれに関連する重要規格の適正化のため、修正案の作成等を実施した。

2 事業実施概要
2.1 IMO GHG削減戦略への対応に関する調査研究
 本調査研究プロジェクトでは、2030年目標(効率40%改善)の達成に向けて、2019年5月のMEPC74に提出した短期対策に係る日本提案(EEXI規制)の技術的事項について検討を重ね、第6回GHG中間作業部会(ISWG-GHG6)及びISWG-GHG7に提案を行った。また、今後の我が国海事産業としてのGHG削減の具体的な取組を決定・実施するための検討材料を提供することを目的として、本プロジェクトにおいて国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップを策定した。

2.2 船舶の省エネ性能向上のための技術基準の検討に関する調査研究
 本調査研究プロジェクトでは、EEDIフェーズ4に関して、IMO GHG削減戦略の2050年目標(GHG総量50%削減)を踏まえつつ、必要な技術的事項(推進システム、燃料の転換等)を検討するとともに、CGについては、コーディネータとして各国の意見を集約し、同CGの中間報告を取りまとめMEPC75に提出した。最低出力規制については、MEPC71に我が国等が提出した暫定最低出力ガイドライン改正案を再提案すべくMEPC75に提案を行った。さらに、非常用出力については、その早期実現に努めるべくMEPC75に提案を行った。また、今後のIMOにおけるEEDI規制の更なる検討に向けて、風力推進システムに関する基礎調査を行った。
2.3 船舶からの大気汚染防止のための基準整備に関する調査研究
本調査研究プロジェクトでは、IMOのMEPC及びPPRでの審議に向けた対応を行うとともに、EGCS排水の実態把握を目的とした排水のサンプル採取・分析調査を行った。また、将来的なMARPOL条約附属書ⅤⅠでの規制の可能性に鑑み、舶用ガスエンジンからのメタンスリップ計測調査を行った。
2.4 船体付着生物管理に関する調査研究
 本調査研究プロジェクトにおいては、上記のIMOガイドラインのレビューに向けて、ガイダンスに従った日本におけるレビューを実施し、我が国としてのレビュー結果をIMOへ提出した。
2.5 自動運航船の開発・実装に係る制度の研究に関する調査研究
 本調査研究プロジェクトにおいては、2019年6月のMSC101及び2019年9月の中間作業部会における自動運航船の議論への対応を行った。また、内航業界の期待する船舶を具体的に選定し、自動運航船を実現するために必要な制度等構築のための課題やその対策について検討した。
2.6 航海設備近代化に伴う関連基準の検討に関する調査研究
a) e-navigation 戦略の実施に伴う関連基準等の検討
IMOでは、航行安全の向上、船内作業及び陸上からの航海支援の効率化等の実現を目指して、IT技術を活用した次世代の航海支援システムの構築・実施に向けた取組を進めている。2014年11月に開催された
MSC94において、「e-navigation戦略実施計画(Strategy Implementation Plan:SIP)」が採択され、2015~2019年の5ヵ年でe-navigation実施に伴う海上人命安全(SOLAS)条約、関連規則、ガイドライン等の作成・見直しが行われたが、一部審議(海上サービス関係)が継続されている。これを踏まえ、本調査研究プロジェクトでは、2020年1月の第7回航行安全・無線通信・捜索救助小委員会(NCSR7)における当該項目の議論に対し、関連業界の意見を集約し、審議に積極的に参画し、我が国意見の反映に努めた。
b) GMDSSの見直し及び近代化に関する検討
IMOでは、GMDSS(Global Maritime Distress and Safety System:海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)の維持及び安全性の向上を目的として、同システムの見直し・近代化の検討が進められている。
本調査研究プロジェクトでは、2018年度に引き続き、IMO及びIMO/ITU合同専門家会合における関連議題について包括的(SOLAS条約、関連性能要件改正等)に議論し、国内意見の集約及び調整を実施した。
2.7 ガス燃料船・新液化ガス運搬船基準の策定に関する調査研究
 本調査研究プロジェクトにおいては、低引火点燃料について、2018年度に引き続き、IMOでの議論に我が国の知見を反映すべく、国内関係業界の意見を集約し、CGへの対応を行った。また、将来的な国際ガスキャリアコード(IGCコード)の改正に向けて現行コードの問題点等について国内関係業界の意見を集約した。
2.8 目標指向型復原性基準の策定に関する調査研究
 本調査研究プロジェクトでは、我が国意見の反映を図るため、各種基準及びそれらの合格判定基準値策定のための試計算並びに模型実験、加えて第二世代非損傷時復原性基準において基準を満足できない船舶に導入が予定されている運航制限及び操船ガイダンスの技術的検討を調査研究として実施し、この成果を、CGの報告書とともに提案文書としてIMOへ発信した。
また、2020年2月に開催されたSDC7における詳細な審議にも積極的に参画し、その結果、第1段階基準、第2段階基準、直接復原性評価、運航制限・ガイダンスを含む、第二世代非損傷時復原性基準の暫定ガイドライン案の最終化を実現した。
また、損傷時復原性基準に関し、船舶の水密性を確保するための要件と復原性基準の整合性を確実にするために行われたSOLAS条約第II―1章改正に対応した解説文書(Explanatory Note)改正の検討のための審議がCGで行われていた。同CGで審議される解説文書改正案は我が国の船舶設計に影響するものであることから、国内関係者と対応を検討し、積極的に意見発出を行い、我が国意見の反映に務めた。
2.9 船舶の合理的な基準作成のためのデータ活用に関するグローバルストラテジーの検討に関する調査研究
 2019年度は、プロジェクト実施の最終年度であり、これまで調査したIMOにおけるデータ活用に関する議論、IMOにおけるデータ活用状況のレビュー及びデジタル化時代のデータ活用の将来像について取りまとめた報告書を作成した。
本プロジェクトの報告書の最終章には、3年間の成果を踏まえたデータ活用規則開発に向けた提言を含めた。
2.10 各国提案の評価及び日本提案のフォローアップ(IMOフォロー)
以下の事項について、IMOにおける審議への対応のために国内意見の集約や対処方針案の策定等を実施した。
a) 防火
b) 救命
c) 船上揚貨装置
d) 係船設備
e) サイバーセキュリティ
f) 水中騒音

3 情報の発信等
3.1 セミナーの開催
調査研究の成果及びIMOの動向の公表のため「船舶基準セミナー」を東京で開催した。
a) 開催日・場所
2019年7月23日(火) 赤坂インターシティコンファレンス
b) テーマ及び講演者「~海事サイバーセキュリティへの対応~」
 講演1. 「海事サイバーセキュリティの国際動向」
講演者:国土交通省 海事局 安全政策課 船舶安全基準室 課長補佐 浦野 靖弘 様
 講演2.「サイバーセキュリティ検討プロジェクトの活動」
講演者:サイバーセキュリティ検討プロジェクト プロジェクトマネージャー
国立大学法人 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 准教授 稗方 和夫 様
 講演3.「サイバーセキュリティへの船級協会の取組」
講演者:一般財団法人 日本海事協会 事業開発本部 認証企画室 室長 斎藤 直樹 様
 講演4.「船舶安全管理におけるサイバーセキュリティ対応について」
講演者:サイバーセキュリティ検討プロジェクト 委員
株式会社 MTI 船舶物流技術部門 部門長 安藤 英幸 様
株式会社 MTI 船舶技術グループ IoT チーム チーム長 柴田 隼吾 様
c) 参加者
約120名

3.2 報告書の配布
上記1及び2に関連したプロジェクト、検討会について年度報告書を作成し、委員及び関係者には製本版報告書を配布した。賛助会員への情報提供として、電子版報告書をホームページに掲載した。

3.3 ホームページ及びメールでの情報提供
賛助会員への情報提供として、IMO各委員会・小委員会の報告、セミナーの開催案内及び報告等メールニュースを発信して、迅速な情報提供に努めた。また、必要に応じてホームページにも掲載した。

3.4 国際会議等への出席
作成された基準案等の趣旨説明を図るために次表のとおりIMO等の会議に出席し、別紙(IMOへの提出文書一覧)に記載の提案文書の説明と理解に努めるとともに関係各国及び関係機関との意見交換及び情報の収集を行った。

助成機関

事業成果物種類

報告書

事業成果物

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IMO GHG削減戦略への対応に関する調査研究

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IMO GHG削減戦略への対応に関する調査研究

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船舶からの大気汚染防止のための基準整備に関する調査研究

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船体付着生物管理に関する調査研究

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事業成果物名

自動運航船の開発・実装に係る制度に関する調査研究

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船舶関係諸基準に関する調査研究

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