事業成果物名 |
2024年度海上安全に関する国際情報収集活動
|
||||||||||||||||||||
団体名 |
|||||||||||||||||||||
事業成果物概要 |
(1)欧州(ロンドン連絡事務所)における諸活動
自動運航船の技術開発やGHG(温室効果ガス)削減対策などの海上安全及び海洋汚染防止にかかる欧州等の国際的な動向、欧州等における海上保安を巡る情勢等について調査研究を行うとともに、第3回国際セミナー「無人システムと海上保安」を開催した。セミナーには50ヶ国から、海上保安機関や民間企業、研究者らが延べ約550人が対面またはオンラインで参加した。また、当協会機関誌「海と安全」等を通じて情報提供を実施した。 (2)マラッカ・シンガポール海峡及び同周辺海域の航行安全・環境保全対策 【アジア・太平洋地域(シンガポール連絡事務所)における諸活動】 公益社団法人日本海難防止協会シンガポール連絡事務所は、日本財団の全面的な支援を受け、マラッカ・シンガポール海峡(以下「マ・シ海峡」という。)を中心とした航行安全及び環境保全対策の推進を図るための調査研究活動を行っており、その結果を広く提供するため「マラッカ・シンガポール海峡レポート」を毎年作成している。 我々の生活を支え、豊かにするグローバルな物の流れは、日々様々なリスクにさらされており、特に島国である日本は、海上輸送に輸出入の9割強を依存しており、グローバルシーレーンにおけるリスクの影響をダイレクトに受ける。 そのような中、インド洋と太平洋を結ぶマ・シ海峡は、船舶交通が輻輳する世界有数の国際海峡であり、我が国のみならず世界貿易にとって極めて重要なシーレーンの要衝である。 一方、同海峡は航海の難所としても有名で、最短2km未満の海峡幅、多数の島、岩礁、水深10数mの浅瀬、海底サンドウェーブの発生もあり、過去には沈船も点在していた。 このため、日本財団は、インドネシアのスハルト大統領から笹川会長への支援要請(1968年)を機に、翌年のマラッカ海峡協議会(MSC)の設立とその事業支援を通じ、海図作成のための水路測量、浅瀬の浚渫、沈船の除去、航路標識の整備・維持管理、そのために必要な設標船・練習船の供与など、様々な形で沿岸三国による安全対策を支援してきた。 その一方、安全対策費用の負担方法や沿岸国間の協力における課題もあるところ。同じく国際海峡のスエズ運河やパナマ運河の2024年の一日の通過隻数が20~30数隻なのに対し、マ・シ海峡は300トン以上の船に限っても250隻程度に上がある。その観点から同海峡で沿岸三国だけが安全対策を負担するのは不公平であり、持続可能ではないとの議論もあるところであるが、同海峡は沿岸三国のいずれかの領海内にあり、主権の問題も十分考慮しなければならないところである。 この複雑な問題を解決するため、日本財団は、沿岸三国のみならず利用国・団体も含む協議の枠組みである「協力メカニズム」の構築(2007年)を主軸となって支援しており。当時の当連絡事務所長も日本財団幹部と一緒にロンドンに何度も出張し、海運団体の説得に当った。 さらに、日本財団は日本海難防止協会を通じて2008 年の「航行援助施設基金(Aids to Navigation Fund:ANF)」の設立資金を5年間にわたり拠出(計約730万米ドル)してきた。この基金は日本財団の累積拠出額が約30%を占め、支援実績の首位となっている。引き続き沿岸三国への資金・技術支援は必要とされており、ANF基金を持続可能な形かつ公平に確保するには、今後、より多様な主体に拠出を募る工夫が求められている。 前記メカニズムの枠組下で2023年に提案のあった分離通航方式(TSS)の東西への延長や航行警戒区域内の交通整理については、2024年に議論が開始され、主要な議論が次年以降行われる見込みである。2025年の「協力フォーラム」(全体会合)の議長はインドネシアからマレーシアに、2025年から2027年のANF委員会の議長はインドネシアからシンガポールに移ることとなっている。 マ・シ海峡を巡る以上の流れを踏まえ、「マラッカ・シンガポール海峡レポート2025」を作成した次第である。 (3)ミクロネシア3国における海上保安能力強化支援 ①ミクロネシア3国に対する巡視船艇等の運用支援、並びに各国政府及び関係者との調整、ニーズ把握、海上保安機関への人材育成支援等 ミクロネシア3国に出張し、海上保安機関、司法省等関係各所との意見・情報交換を行った。 各国の小型パトロール艇の定期整備等の機会に併せて職員が出張し、整備等の監督業務を行うとともに関係各所と面会し意見交換を実施した。 ②海上保安アドバイザーによる巡視船艇の運用及び海上保安能力強化にかかるパラオ海上保安機関への指導及び助言等 平成30年度からパラオへ派遣している海上保安アドバイザー(令和6年度末から4代目)は、パラオ海上警察職員の知識技能を確認しつつ、直接整備等の指導・助言を継続的に実施することで同職員の業務対応能力の向上を図った。 滞在期間中は、供与小型パトロール艇及び巡視船関連業務に加え、米豪のアドバイザーと連携しつつ総合的な事案対応能力の向上のために取り組むとともに、パラオ政府関係者及びその他外国政府関係者と日頃からの情報共有、意見交換など連携強化も図った。 |
||||||||||||||||||||
助成機関 |
|||||||||||||||||||||
事業成果物種類 |
報告書
|
||||||||||||||||||||
事業成果物 |
|