事業成果物名 |
ミャンマーにおける海事産業の現状及び今後の動向についての調査
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事業成果物概要 |
は じ め に
本報告書はミャンマーにおける海運、造船および周辺産業の状況について調査したものです。 ミャンマーは日本ではビルマとして親しまれていましたが、1994 年から軍事政権に対する欧米 の経済制裁が始まり、我国との交流も減少し、海事産業に関する情報も希薄になっていました。 ミャンマーは、インドシナ半島の西に位置し、西の国境をバングラデシュ、インドと接して おり、東南アジアの西の入口であり、マラッカ海峡を通ることなく、インドシナ半島を迂回す ることなく、中東の油を中国内陸部まで陸送できます。中国はそうした地理的利点を利用し、 ミャンマー政府との契約のもと、西の港チャオピューから中国雲南省の省都昆明まで、天然ガ スパイプラインの建設を2009 年より開始しています。そして、それに併設して石油の輸送パ イプラインと港の整備、鉄道の敷設、道路の整備も着々と計画されています。 2003 年に策定された民主化ロードマップに従って、2010 年11 月に総選挙を実施、2011 年 3 月に軍籍を離脱した大統領の下に新政権が発足しました。そして、アウンサンスーチーさん との対話も繰り返されてきました。2011 年11 月17 日、ASEAN 会議がインドネシアのバリ島 で開催され、ミャンマーが2014 年ASEAN の議長国になることが承認されました。翌18 日に 行なわれた日・ASEAN 首脳会議で日本政府はASEAN への経済協力を、またミャンマーとの 首脳会談ではミャンマーへの支援を表明しました。 1994 年に始まった欧米の経済制裁は2011 年の4 月に米国が、また5 月に欧州が1 年の延長 を決めましたが、米国特使が派遣されたり、国務長官の訪問等の動きがあり、欧米による経済 制裁の解除が期待されています。 2010 年11 月にタイ国の企業ITD(イタリアンタイ)がミャンマー政府から南部のダウェイ に250 ㎢の用地を75 年間借り受ける契約を結びました。ベトナム・カンボジア・タイを横断 する幹線道路のインド洋への西の出入口にあたるこの地に重化学工業を誘致し、世界有数の臨 海工業地帯を目指しています。こうした地理的利点からASEAN 経済圏と中東・インド経済圏 の窓口として計画が実行に移されつつあります。 ミャンマーへの外国からの2010 年までの投資額はタイ・中国・香港・韓国の順で日本は12 位と低位でありました。2010 年単年の投資額が2009 年までの過去4 年間の累計に匹敵するほ ど海外投資が急増しています。また、最近工業団地への海外からの投資が進んでおり、各国の 熱い視線がミャンマーに注がれています。 ここ数年の外国資本の導入、経済の拡大により市民生活においても海事産業においても劇的な 変化が予想されます。ASEAN では国土面積第2 位、人口第4 位の潜在力を秘めたミャンマーの 今後の動向を注視する必要があります。 ジェトロ・シンガポールセンター船舶部 (社団法人日本中小型造船工業会共同事務所) ディレクター 矢頭 康彦 |
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