事業成果物名

2017年度尖閣研究 尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告 ― 沖縄県の漁業関係者に対する聞き取り調査

団体名

事業成果物概要

本調査報告は、日本財団の2017年度研究助成交付によるものです。
日本財団は早くから尖閣諸島海域の漁業調査の重要性を認識され、当編纂会は、第1回は2009年度、第2回は2012年度、第3回は2014年度、今回は2017年度と、4回に亘って研究助成を頂きました。
私共編纂会は、「尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告事業」は、今回を以て、所期の目的を概ね達成したものと判断し終了することになりました。
日本財団様には、この間、2009年度から2017年度の長きに亘り、しかも4回に亘る特段のご配慮で研究助成を頂きました。笹川陽平会長様はじめ、関係者皆様に対して、心より感謝を申し上げます。
尖閣諸島海域は魚族が豊富な好漁場として、明治期古賀氏の開拓時代から、国内有数の漁場として開発利用されてきました。戦時中、操業は一時途絶えたものの、終戦後いち早く、沖縄各地から漁船が出漁、県外船、台湾船も入り混じって操業し、賑わってきました。
国内有数の好漁場にもかかわらず、同海域の漁業に関する資料は殆どなく、その全容は不明のままでした。そんな中、日本財団様から研究助成を得て、沖縄県の漁業関係者に対する聞き取り調査を実施し、尖閣諸島海域の漁業の一端が明らかになりました。

東シナ海の黒潮回廊に位置する尖閣諸島海域は、名にし負う国内有数の好漁場です。
周知のように、明治期から開発利用された沖縄の伝統的漁場でもあります。
島の周りでカツオが獲れるので、魚釣島ではカツオ節を製造するなど、海域は多くの漁船で賑わっていました。戦後は、日本各地からカツオ船やマグロ船、突ん棒、深海一本釣船等々が行き来し、また島の傍らでは、電灯潜りも見られ、様々な漁業が営まれていました。
ちなみに、沖縄県において、尖閣諸島海域で営まれていた漁業は以下の通りです。
  
カツオ漁・カツオ節製造   マグロ延縄  カジキ突棒 カジキ曳縄
ダツ・トビウオ追込み グルクン追込み  深海一本釣 底立延縄 底延縄
サバ跳釣・棒受け 曳き縄  電灯潜り サンゴ網漁

この中には、今日ではカジキ突棒やダツ・トビウオ追込みなど消滅した漁業・漁法も少なくありません。加えて、同海域で漁業が盛んに営まれていたのは1960~90年代です。
往時漁に携わった方々は、殆どお亡くなり、存命の方でも高齢です。
謂わば、猶予ない状況の中で、漁業関係者を探し出し、滑り込みセーフで聞き取り調査を実施できたのは、日本財団様のご理解と時宜を得たご判断のお蔭でもあります。

なお、本調査報告について、最終の報告となるため、下記の編集内容にしました。
〇本調査報告の基本テーマである尖閣諸島海域における漁業については、Ⅰ章に、漁業者関係者への聞き取り4編と寄稿稿1編を掲載しました。また、Ⅱ章に、写真・図版に見る漁法・漁業としてカツオ漁、深海一本釣り、マグロ延縄など5つを紹介しています。
〇Ⅲ章には、”尖閣諸島の学術調査関連”として、新納義馬会長による講演「尖閣諸島の学術調査と自然」と、高良鉄夫の第二次調査~第四次調査(1952,53,63年)に同行した上運天賢盛と新納義馬の学術調査体験記と対談、この2つを掲載しました。
 〇Ⅳ章には、”尖閣諸島古賀村の昔と今”と題して、「久場島古賀村跡の遺構、生活跡調査を」と「魚釣島・南小島古賀村盛衰考」を掲載しました。
後者の中で、大正元年8月の台風で尖閣諸島の古賀村が壊滅し、この台風被災が原因で、古賀氏は尖閣諸島の開拓事業から撤退したのではないかと推論しており、興味深い指摘も幾つか為されています。これらを機に、今後は、専門家諸賢による尖閣諸島古賀村に対する活発な議論が高まることを期待します。併せて、地元石垣市、沖縄県、国による尖閣諸島古賀村跡の遺跡(遺構・遺物)調査が速やかに為されることを念願しております。

助成機関

事業成果物種類

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事業成果物

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2017年度尖閣研究 尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告 ― Ⅰ章

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2017年度尖閣研究 尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告 ― Ⅱ章

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事業成果物名

2017年度尖閣研究 尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告 ― Ⅲ章

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2017年度尖閣研究 尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告 ― Ⅳ章

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事業成果物名

2017年度尖閣諸島における漁業関係者へのヒアリング継続調査及び尖閣漁業の図版によるまとめ

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